(本記事は、堀口龍介の著書『1分で売る 最小の労力で成果を最大化させる「AI時代の即決営業」』冬至書房の中から一部を抜粋・編集しています)
「AI時代の即決営業」』シリーズ
極端な高低で相手の目安をあぶり出す
極論とは、極端な例のこと。「もし明日で地球が滅亡するとしたら、どうしますか?」「もし世の中で男が私しかいなかったら、あなたは誰と結婚しますか?」というのが、一般的に使われている極論。
即決営業では、この極論を応用してお客様に予算を言わせる、つまり「いくらくらいなら払えるか」という目安金額を言わせるために使っています。
営業マンならば、お客様に「ご予算はいくらですか?」「おいくらくらいなら、お支払いできますか?」と聞くこともあると思います。でも、お客様は予算を言いたがりません。なぜなら、予算を言ってしまうと、営業マンが予算に見合った金額を提示してきて、売り込んでくるのが目に見えているからです。
みなさんも、次のような経験がないでしょうか。あなたが服屋さんに入っていったとします。そこに店員さんが寄ってきて「スーツをお探しなんですね。ご予算はおいくらくらいでしょうか?」と、いきなり予算を聞かれた経験があると思います。
このとき、あなたは店員さんにどのような感情を抱きましたか?
「放っといてくれよ」という拒絶の感情を抱いたり、「ちょっと予算まで考えてなかったんで」「まだ買うか買わないかわからない」などと、とぼけたりした人も多いのではないでしょうか。あなたのお客様も同じです。お客様は予算を言いたくないのです。
しかし、私たち営業マンからすると、「そのお客様がいくらくらいなら払えるのか」という予算を明確化しておきたいものです。なぜなら、お客様に予算を言わせることで、料金提示の目安ができるからです。ゴールが明確になるからです。
そこで、お客様に予算を言わせるために、「極論のサンドイッチ」という技術を使います。
最初に、極端に高い金額を提示する。その次に、極端に低い金額を提示する。最後にお客様に言わせたい頃合いのいい金額を提示する。
これが「極論のサンドイッチ」です。私が経営している家庭教師派遣会社でも、この「極論のサンドイッチ」をよく使っています。
例えば、お客様に予算を聞いても「ん〜、ちょっと予算までは考えていなかったな」と、とぼけられたとしたら、次のように「極論のサンドイッチ」を使います。
「ただお客様、家庭教師の月謝が月々10万円だと、ちょっと高すぎるじゃないですか。でも、月々1万円の家庭教師は、今どきどこにもないですよね。やっぱり家庭教師の月謝は、月々3万円から5万円するのが普通だと思うんですよ。お客様が考える家庭教師の月謝はこのくらいだよという金額は、いくらくらいですか?」
最初に月々10万円という極端に高い金額を提示します。次に、月々1万円という極端に低い金額を提示します。そして最後に、月々3万円から5万円というお客様に言わせたい頃合いのいい金額を提示するのです。
このように提示すれば、お客様は「ん〜、月謝は普通3万円くらいかな……」というふうに、私たちが言わせたい数字を言うわけです。
予算をお客様の口から言わせたら、こっちのもの。
「月々3万円くらいですね。ありがとうございます。月々3万円くらいでしたら、90分授業で週2回コースがピッタリです。どうかこの機会にスタートしてください」となるわけです。
このように、予算が明確になると、料金提示がしやすくなり、さらにお客様も「考えます」と逃げにくくなります。
予算がわかれば成約率は自然と高まる
さらに、この「極論のサンドイッチ」は、お客様に予算を言わせる以外にも使うことができます。個数、人数、期間など、お客様が曖昧にしたがる数字を明確化するときに使える技術なのです。
例えば、あなたがレストランを経営していたとします。そのレストランに、結婚式の二次会の予約が入ったとしましょう。レストラン側からすると、料理の材料やスタッフの確保など、予約人数に合わせて準備が必要です。そのため、予約人数を明確にしておきたい。
ところが、予約してきたお客様から「いや〜、人数はちょっと当日にならないとわからないなぁ。結婚式当日に呼びかけるので、何人来るかわからないんですよね」と言われたとします。予約人数を曖昧にしようとするわけです。
このような予約人数を明確化したいときでも、「極論のサンドイッチ」が使えます。
「人数は、当日にならないとわからないとおっしゃっていますが、まさか100人も来ることはないですよね。ただ、2、3人ということもないと思うんですよ。例えば、10人以上15人以下、もしくは20人以上25人以下など、その目安の人数はわかると思うんですね。だいたい目安は何人くらいですか?」
「いやー、たぶん 15人前後かな……」
「15人前後ですね。ありがとうございます。では、15人で予約しておきますので、人数変更があった場合は、事前にご連絡ください」
このようにすれば、予約人数が確定できるわけです。もう一度言いますが、「極論のサンドイッチ」を使えば、予算金額が明確になります。「クロージングは、ゴールに寄せてから」ですから、ゴールから近い場所で(予算を明確にして)シュートを打てば、あなたの成約率は大幅に上がります。