「後継者不在率」 低下傾向2019年は65.2%、2年連続低下
~ 全年代で不在率低下、「60代」は初めて5割を下回る ~
はじめに
地域の経済や雇用を支える中小企業。しかし、近年は後継者が見つからないことで、事業が黒字でも廃業を選択する企業は多いと見られている。日本政策金融公庫によれば、60歳以上の経営者のうち50%超が将来的な廃業を予定。このうち「後継者難」を理由とする廃業が全体の約3割に迫る。
経済産業省の試算では、後継者問題が解決しない場合、2025年頃までに最大約650万人の雇用と約22兆円分のGDP(国内総生産)が喪失されるとしている。地域経済の衰退や雇用喪失のインパクトが大きいことから、後継者問題は喫緊の課題として国や県、地域金融機関などが中心となってプッシュ型の事業承継支援を積極的に推し進めている。
■帝国データバンクは、2019年10月時点の企業概要データベース「COSMOS2」(約147万社収録)及び信用調査報告書ファイル(約180万社収録)をもとに、2017年以降の事業承継の実態について分析可能な約27万5000社(全国・全業種)を対象に、後継者の決定状況など後継者問題と事業承継動向について調査を行った
■同様の調査は2018年11月以来6回目
調査結果
1 2019年における後継者不在率は65.2%となった。全ての年代で後継者不在率が低下したほか、「40代」以降で後継者不在率は調査開始以来最低を記録した点が特徴。地域別では「北陸」は3年ぶりに、「関東」「中部」は2年連続で低下したが、「四国」・「九州」は4年連続、「東北」は3年連続で上昇した
2 2019年の事業承継は「同族承継」により引き継いだ割合が34.9%に達し、全項目中最も高かったが年々低下傾向で推移。後継候補が判明する全国約9万5000社の後継者候補の属性を見ると、最も多いのは「子供」の40.1%。次いで「非同族」の33.2%が続いた。60代以降の社長では後継候補として「子供」を選定するケースが多い一方、50代以下の社長では「親族」や「非同族」を後継候補としている企業が多い