「給与は減っていない」という人も要注意

「ここ20年で年収(額面)に変動はない」という方も、実は要注意です。税金や社会保険料の増加の影響を受けているはずで、その分、自由に使えるお金(可処分所得といいます)は減っています。

最も身近なものとしては消費税ですが、平成初期は3%だったものが5%?8%?10%と約30年間で10%も多くお金がかかる環境になっています。

年間300万円の買い物をするとすると、必要な消費税がかつては9万円だったものが、今は30万円になっています。つまり、年収の額面が昔から維持できていたとしても可処分所得が下がるため、生活が苦しくなっていることがわかります。

額面での賃金を「名目賃金」、可処分所得の視点でみた賃金を「実質賃金」といいますが、1996年から2016年にかけて、実質賃金が減少しているのは先進国の中では日本だけなのです。

上場企業の50%が副業を認めている

では、どうすればいいのか。私たちが進めているのが「副業」です。

副業元年と呼ばれた2018年から1年半近く経過しました。副業特集の雑誌や本が多く出版され、上場企業の50%が副業を認めているというニュースも出ているほど、副業は身近なものになってきました。

しかし、実際に副業に取り組んでいる方はまだまだ少ないのが現状です。正確には挑戦はしたが、続いていない方が多いようです。

「平成29年就業構造基本調査 全国編」を見ると、興味深い現状が見えてきます。

副業を取り組んでいる層は年収200万円未満または800万円以上が中心だということ。つまり『本業収入では足りない人』または『すでに豊かな人生設計を描いている人』が中心であり、いわゆる「中間層」の人は、ほとんど副業に手を出していないのです。

確かに中間層は、副業をしなくても生活することには困らないでしょう。必要性が弱いからこそ、続けられる人も少ないのだと考えられますが、これからは、中間層の人も副業を考えるべき時代になっているといえるでしょう。