【目次】
①JTOWER IPOの基礎情報
②ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)【12/9更新】
③IPOジャパン編集長 西堀敬 氏のコメント 【12/4更新】 ※有料会員限定
- 会社名
- 株式会社JTOWER
- コード
- 4485
- 市場
- マザーズ
- 業種
- 情報・通信業
- 売買単位
- 100株
- 代表者名
- 代表取締役社長 田中敦史 /1974年生
- 会社住所
- 東京都港区赤坂8-5-41
- 設立年
- 2012年
- 社員数
- 50人(2019年09月30日現在)
- 事業内容
- 国内外における通信インフラシェアリング及びその関連ソリューショ ンの提供
- URL
- https://www.jtower.co.jp/
- 資本金
- 1,399,711,000円 (2019年11月13日現在)
- 上場時発行済み株数
- 19,354,472株
- 公開株数
- 5,893,300株
- 連結会社
- 5社
- スケジュール
- 仮条件決定:2019/12/02→1,550~1,600円に決定
- ブックビルディング期間:2019/12/03 - 12/09
- 公開価格決定:2019/12/10→1,600円に決定
- 申込期間:2019/12/11 - 12/16
- 上場日:2019/12/18→初値2,620円
- シンジケート ※会社名をクリックすると外部サイトへ飛びます
- 主幹事証券:SMBC日興証券 (SMBC日興証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:大和証券
- 引受証券:みずほ証券
- 引受証券:野村證券
- 引受証券:三菱UFJモルガン・スタンレー証券
- 引受証券:SBI証券 (SBI証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:楽天証券 (楽天証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:マネックス証券 (マネックス証券の詳細記事はこちら)
- 引受証券:岩井コスモ証券
- 大株主
- (株)カルティブ 29.14%
- 日本電信電話(株) 21.21%
- 田中敦史 10.69%
- JA三井リース(株) 6.85%
- 三菱UFJキャピタル4号投資事業有限責任組合 5.33%
- 日本郵政キャピタル(株) 4.91%
- アイティーファーム・のぞみ投資事業有限責任組合 3.33%
- (株)INCJ 2.70%
- DBJキャピタル投資事業有限責任組合 2.66%
- SMBCベンチャーキャピタル1号投資事業有限責任組合 みずほ成長支援投資事業有限責任組合 2.66%
- 業績動向(単位:1千円)
売上高 経常利益 当期利益 純資産 - 2017/03 単体実績
166,075 -259,831 -269,736 630,434 - 2018/03 連結実績
756,601 -479,062 -577,953 2,209,501 - 2019/03 連結実績
1,377,990 -166,826 -214,841 2,508,488 - 2019/09 第2四半期連結実績
1,096,265 -3,529 -28,006 854,076 - ロックアップ情報
- 指定された株主は上場後90日目の2020年3月16日までまたは上場後180日目の2020年6月14日までは普通株式の売却ができず(例外あり)
- 調達額(公開株数×公開価格)
- 94億2928万0000円(5,893,300株×1,600円)
- 潜在株数(ストックオプション)
- 793,600株
- ビジネスモデル解説(執筆=株価プレス管理人)
- 株式会社JTOWER<4485>は、携帯電話インフラのシェアリングビジネスを展開する企業である。国内のみならず海外においても同事業を展開している。
■事業内容詳細
同社は国内では一般的ではなかった、「通信インフラシェアリング」を事業化した企業である。
具体的には、国内外において携帯キャリアに対して屋内電波対策用の共有設備を提供する「国内IBS(※)事業」「海外IBS事業」を展開している。
※IBS→In Building Solution
●国内IBS事業について
国内IBS事業では、これまで携帯キャリア各社が個別で手掛けていた屋内携帯インフラを、同社が独自開発した共用設備により一本化するサービスを提供している。携帯キャリア各社は、個別にインフラ投資を行うよりも安価にインフラ整備が可能となる。
5Gへの投資がスタートする中で同社IBSサービスの全国的な導入が進んでおり、導入物件数及びTenancy Ratio(物件当たり平均参画キャリア数)は着実な増加を見せている。
同社は他にはない通信インフラシェアリング事業者として技術蓄積を行っており、不動産事業者や携帯キャリアとの関係性や先行優位性を有している。
尚、携帯キャリアはサービス導入後、スイッチングコストが高くなるため(携帯キャリアはゼロベースでの設備投資が必要となる)、同社は安定的な長期契約に基づくストック収入を得ることができる。
2019年3月期はNTTドコモ2.4億円、ソフトバンク2.8億円、KDDI2.0億円の売上を計上しており、既に携帯通信キャリア3社との取引が開始されている。
●海外IBS事業について
国内IBS事業を通じて得られたノウハウを活用し、東南アジアを中心に海外でもIBS事業を展開している。ベトナム、ミャンマー、マレーシアに進出しており、現地企業への資本参加や、現地パートナーとの連携を通じて事業を展開中である。
現在までに150件の導入物件数となっている。
■今後の成長戦略
今後のモバイル通信インフラは、現在の4Gから5Gへの移行が予定されている。既に5Gへのインフラ投資が開始されているが、5Gでは利用する周波数帯の特性や幅広い用途から、4G以前と比較しても多くの基地局が必要と見込まれている。
携帯キャリアは5G対応のため莫大な設備投資が必要となる中で、設備投資の効率化の観点から、インフラシェアリングを利用する機会も増加すると予想される。
更に楽天の携帯電話事業参入により、国内携帯キャリア企業の数自体も増加する。同社にとっては国内事業で、もう1社取引先が増える可能性がある。
■業績推移
2017年3月期 売上高1.7億円、経常利益▲2.6億円、当期純利益▲2.7億円
2018年3月期 売上高7.6億円、経常利益▲4.8億円、当期純利益▲5.8億円
2019年3月期 売上高14億円、経常利益▲1.7億円、当期純利益▲2.1億円
2020年3月期(予想) 売上高24億円、経常利益▲2.6億円、当期純利益▲2.9億円
※2018年3月期より連結決算
大幅な増収が続いているが赤字も継続しており、2020年3月期も赤字の予想である。
2020年3月期Q2(累計)は売上高11億円、経常利益▲0.03億円であり、引き続き増収に向け進捗している。
尚、EBITDA(通信会社の評価に用いられるケースが多い)は、2019年3月期1.7億円と黒字化。今期もQ2までに3.1億円の黒字を計上しており、通期でのEBITDAは5億円を予想している。
また営業活動によるキャッシュ・フロー(営業C/F)も2018年3月期+8.9億円、2019年3月期+13億円であり、既にプラスに転じている。ただし投資活動によるキャッシュフロー(投資C/F)が2018年3月期▲19億円、2019年3月期▲21億円であり、営業C/Fにて投資C/Fをカバーできる状態ではない。
■財務状況
2019年3月期末時点で、資産合計74億円に対し、純資産合計25億円、自己資本比率34%である。
借入金合計3.1億円に対し、現預金23億円を有している。また顧客から受領の使用料は、前受収益(7.4億円)、長期前受収益(20億円)として、負債の部に計上されている。
尚、2019年9月中間期時点で各科目は借入金13億円、現預金17億円、前受収益15億円長期前受収益35億円となっている。
■資金使途
IPOにより56億円の資金調達を行い、下記の使途を予定している。
・国内IBS事業の拡大のための屋内無線通信設備資金 41億円
・新事業であるタワー事業の屋外無線通信設備資金 5億円
・金融機関からの借入金の返済資金 10億円
調達資金の大半は国内IBS事業拡大のための設備投資に充当される。
■株主構成
筆頭株主は役員等により議決権の過半数が所有されている株式会社カルティブ(株式シェア29%)である。田中社長は第3位株主(同11%)となっている。
また第2位株主は事業提携先のNTT(同21%)である。役員関係と事業提携先にて60%以上の株式シェアが保有されている。
一方で第5位株主の三菱UFJキャピタル4号投資事業有限責任組合(同5.3%)以下、多数のVCが出資を行っており、VC比率は27%である。尚、売出で保有全株を売却する日本郵政キャピタルを除きVCは上場後90日もしくは株価1.5倍のロックアップ契約を締結している。
■まとめ