法人化によるメリット

法人化によるメリットとしては、所得の分散化が、図れるということがあります。つまり、不動産の資産管理会社の役員に、妻や親族になってもらうことで、

役員報酬を分散化するということです。自分1人が役員報酬として1,000万円もらうのではなく、妻や子供に1,000万円のうち、500万円ほど役員報酬をとってもらう形にします。そうすることで、所得税の税率を下げることができ、手取りの金額を上げることができます。

また、法人税の場合、繰越欠損金という制度があります。不動産を売却して、売却損が出た場合、青色申告が必要になりますが、欠損金(損金が益金を超えた状態)が出ることになり、その年以降、9年間にわたり、欠損金を繰り越すことができ、法人税を支払わなくすむようになります。個人で所有していた不動産の場合、条件によりますが、この売却損の繰越しは、3年間までなので、かなり、メリットがあるといえます。

また、相続の問題です。個人で所有している不動産を相続した場合、相続税がかかります。法人で、所有している不動産には、相続税がかかりません。しかし、法人なので、株式の所有をすることになり、この株式は非上場株式になり、この相続の問題が出てきます。ただし、この非上場株式の場合、不動産所有移転の登記などの必要もないです。そして、前述したように、相続以前の期間に妻や親族に対して、役員報酬という形で、資産の移転が図れるのがメリットといえます。


法人化による法人税の節税とリスク対策

ここまで見てきたように、法人化により、個人経営より、税金の負担が減ることで、節税対策になり、メリットがあるといえます。ただし、利益が出ていることが前提なので、個人で経営していて、不動産所得が、赤字になるようであれば、むしろ個人のほうがいいといえます。

また、賃貸経営の場合、空室リスクと家賃の滞納リスクがあります。このリスクをなくすために、サブリースというシステムがあります。管理会社が所有している物件を一括で借り上げ、空室や家賃の滞納に関係なく、家賃を保証するというシステムです。これにより、賃貸収入は安定します。その代わり、管理会社に対して手数料が発生します。

法人化による賃貸経営では、法人化によるメリットと賃貸経営のリスクを検討することが、大事なポイントになるといえます。

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