(本記事は、阿部George雅行氏の著書『 BQ−身体知能−リーダーシップ』クロスメディア・パブリッシングの中から一部を抜粋・編集しています)

社会環境に合わせて必要なBQリーダーシップは変化していく

職場,健康
(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

さまざまな職場で起こり得る健康面での課題を考えてみたが、読者の中には極端な例だと感じる方、実際の現場はもっと恵まれていると感じる方、すでに従業員を大切にしないと会社が存続できない世の中になっていると感じている方などさまざまだろう。しかし、社員をとりまく環境やツールの進化(=ハード)に対して、まだまだソフト=人の変化は遅いと筆者は感じている。

また、今後リモートワークが進むにつれ、社員の健康状態について管理職やリーダーが介入することはますます難しくなる。部下の顔色や声で、調子を見ることは不可能になってくる。

その反面、社員は在宅勤務によって自分が心地よいと思う環境の中で仕事ができ、自分のペースをコントロールできるようになる。生産性が上がる自分の状態=BQをより意識することも可能になる。従来対面で働くことが前提で考えられていた健康経営の戦略や概念が、今後どのように変化するのか、筆者としてもとても興味がある。

そして、当たり前のことではあるが、どの業界でもメンタルヘルスが課題であり、その解決こそが今後の業績を左右するほどの影響を持っているとも言える。メンタルヘルスの問題はその会社の課題を浮き彫りにしている。

例えば、外資系企業にM&Aされてまもない企業の人事担当者が、組織構造の変化についていけず、心がまいってしまう。よく観察するとまいっているのは人事だけでなく、現場もさらに疲弊している、なんてことは多々あることだ。

ビジネスパーソンのメンタルヘルス不調は、その要因が仕事であれ、プライベートであれ、仕事の環境調整が必要になる。リーダーはそのことを自覚し、ストレスについて正しい知識と情報を常にインプットしながら対処していくことが必要だ。

そして問題に向き合う中で、さまざまなつまずきに出合うかもしれない。しかし、そんなときでも問題から目を背けず、真因を掴んで対処することでより活力ある組織に生まれ変わることも可能なはずだ。

健康の大切さは理解していても、実践が追いつかない、一人ひとりのケアまでできない、継続するのが難しいなどという問題を多くの組織やリーダーが抱えている。

読者の中には自分には組織全体を変えるほどの影響力は持っていないと思っている方もいるだろう。そんな場合は、規模は小さくてもいい。あなた自身が健康の重要さを理解し、一人のBQリーダーとして自分の周囲のメンバーと少しずつ向き合っていくことが重要だ。

 BQ−身体知能−リーダーシップ
阿部George雅行(アベ・ジョージ・マサユキ)
株式会社ボディチューン・パートナーズ代表取締役社長、NPO法人アスリートヘルスマネージメント理事、早稲田大学スポーツビジネス研究所(RISB)招聘研究員。明治大学卒業、早稲田大学大学院博士課程単位取得退学。筑波大学大学院退学。グロービスMBA。富士銀行、みずほ銀行、グロービス等ベンチャーを経て現職。

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