1 注文住宅を取り巻く課題

注文住宅
(画像=FOTOGRIN/Shutterstock.com)

不動産の購入を検討しようと思った時に、マンション(新築・中古)、建売住宅、中古戸建の検討をされる方が圧倒的に多く、土地を購入して注文住宅(オーダーメイド住宅)を建てようと思われる方は少数派になろうかと思います。注文住宅は数ある住宅購入の選択肢の中で、唯一家族や自分の希望を取り入れた住宅を設計することができる反面、下記に掲げるような注文住宅を取り巻く課題が起因して、注文住宅検討のハードルを上げてしまい、大多数の方がマンションや建売住宅を選択するという結果になっているのではないでしょうか。

【注文住宅を取り巻く課題】
・想像通りの住宅が完成するか不安
・実際の相場や価格が分からず予算内に収まるか不安
・どこに相談したら良いか分からない、手続きが面倒

これらの課題は、注文住宅を建てたい人(購入希望者)と建てる人(建築業者)の情報格差が大きいことや、建築に関する知識の差が大きいことが漠然とした不安を招いていると考えられます。例えば、注文住宅の相場に関しては坪単価で表現されるのが一般的ですが、本体工事に含まれるもの・含まれないものが各社で異なったり、建築プランによって価格変動幅が大きいため、なかなか表面上で比較することが難しかったりします。

また、出来上がりのイメージがつきにくいことや、もしも失敗した時の不安やリスクを考えると、一生の中で最も高い買い物と言われる住宅がゆえに、安心感を求める心情は理解できます。

注文住宅は、専門知識がある方にとっては希望条件が叶う最適な住宅購入手段であると言えますが、専門知識を持ち合わせていない方にとっては、憧れのフルオーダー住宅で期待に胸を膨らませることより、初めての経験で見えない不安の方が強くなってしまうのは致し方ないことでしょう。一方で、マンションや建売住宅は完成した姿が内見などで実際に見ることができたり、価格が明確で情報がオープンになっていることが安心材料に繋がっているものと思われます。

2 注文住宅も実は新築マンション購入とプロセスは変わらない?

マンションは完成した姿が見れると記載しましたが、実際には新築マンションについては完成していない状態(いわゆる青田売り)で販売が開始され契約するケースが多いのが実情です。新築マンションは未完成であっても安心だけど注文住宅は不安。このようなことは何故起こるのでしょうか。

新築マンションは、モデルルームやパンフレット、最近はVRなどで完成した姿を見える化することで購入希望者に疑似体験を提供していることで安心感を与えていることが大きいと考えられます。特に不動産購入が初めての方にとってはこれらの演出で購入意欲が高まるのも分かる気がします。

一方で、注文住宅は、住宅展示場などでモデルハウスを訪れたとしても土地が異なれば全く異なる住宅イメージになってしまいます。新築マンションの場合もモデルルームと同じ部屋を購入しなければ間取りなどが異なるため、イメージが異なる点では注文住宅と全く同じことが言えるのですが、新築マンションはモデルルームやVRによる演出で何となくイメージが沸きやすいことから、演出の差が安心感を与えているかどうかを左右しているのではないでしょうか。

注文住宅は新築マンションよりも設計に対する自由度が高く、さらに1つの土地に対して建築業者を限定せずに好きな建築業者で住宅を建てられる(建築条件付き土地は除く)というメリットがある一方で、新築マンションのような大型分譲ではないため、PRや広告こそできないため演出力には欠けてしまいますが、最近ではテクノロジーの進化でCGやVRなどで見える化するようなサービスも続々誕生してきていますので、不安要素はかなり減ってきているものと思われます。

そう考えると新築マンションと注文住宅の購入プロセスは何ら変わらないと言えるでしょう。

3 注文住宅の相場とは?

注文住宅で分かりにくいと言われるのが相場や価格です。一般的に注文住宅の相場は坪単価で表現されることが多いですが、本体工事に含まれるもの・含まれないものが各社で異なるため、単純に比較することが難しいと言われています。ハウスメーカーや工務店の坪単価情報を入手して相談しに行ったものの、別途工事などを含む総予算で想像と異なる価格になってしまうなんてこともあり得ます。

このような時はどうすれば良いでしょうか。やはり、複数の建築業者に希望条件を伝えて見積もりを依頼して比較検討するのが一番です。

しかし、注意しなければならないのが、注文住宅は一品ものですので、建築会社によって建築プランに対する考え方、使用する材料などで大きな差が生じることです。そうなってくると、余計にどの見積もりが妥当なのかが分からなくなってきます。さらに、外部要因(セールストーク、口コミなど)に惑わされたりすることも多く、何を信じれば良いのか分からくなったなんてこともしばしば聞きます。

まずは、誤った判断をしないために、必ず同じ希望条件で各社に提案してもらうことが重要で、それが相場感や価格の妥当性を知る第一歩と言えるのではないでしょうか。

4 注文住宅を成功に導く2つのポイント

注文住宅を成功させるにはどのようにしたら良いでしょうか。細かなポイントは幾つかありますが、下記の2つのポイントは特に重要です。それぞれを解説していきたいと思います。

ポイント1 最初にやるべきことは「土地選び」

注文住宅の検討を行う際に、よくあるのが土地のターゲットが決まっていない状況で建物の相談を行うパターンです。確かに大手ハウスメーカーなどでは土地の分譲や仲介を行ったりしていますので、全てお任せできれば簡単です。

しかし、建物は気に入っても立地が気に入らなければ購入の候補に入らないことが多いのではないでしょうか。実は注文住宅を検討する際にまず最初にやらなければならないのは「土地選び」です。「立地」と「建物」どちらを優先させるかと聞くと、多くの方は「立地」と答えるのではないでしょうか。

もちろん予算などの前提条件はありますが、例えば(1)「〇〇駅徒歩△分」と(2)「〇〇駅バス△分」の場合、建物の予算を多少削っても(1)を選び、削減した予算で注文住宅を建ててくれる建築業者を探そうとする人の方が多いのではないでしょうか。立地が重要視されるのは、通勤や通学など日々の生活への影響が大きいのが主な理由です。さらに、最近はライフスタイルの多様化により購入した土地に一生住むとは限らないという考えを持っている方が増えてきています。

すなわち、リセールバリューの高い土地を購入しておけば後々住み替えが必要になった場合にも売却しやすいといった資産的な観点で考える方が増えてきたことも背景にあります。昨今の老後2000万円問題など、ますます資産に対する考えをシビアに捉える方が増えてきていると言えます。注文住宅を検討する流れの中で、まず最初に「土地選び」。これが非常に重要になります。

ポイント2 土地が決まったら「建築業者」を見つける

それでは、土地を決めた後はどのように進めれば良いでしょうか。総予算から土地代金を引いた残予算で住宅を建築することになりますが、予算と希望条件を明確にして建築業者を探す必要があります。比較的予算に余裕があり、希望条件やこだわりがあまりない場合は、何となくイメージが合う建築業者を選んで建築することも可能かもしれませんが、土地の価格が想定より高くなってしまった場合には建物価格の予算を見直す必要があります。

建物の予算は削らざるを得ないものの希望条件やこだわりを何とか実現したいと思った場合に、なかなか条件に見合った建築業者が見つからないといったケースが考えられます。

この場合は、とにかく建築家・工務店・ハウスメーカーなどをとことん調べて見積もりを入手するなどの対応が必要になります。色々な建築業者を苦労して探して最終的に1社と契約するまでには、かなりの労力を費やすことになるかもしれませんが、希望に沿った注文住宅を建てるためには最適な「パートナー = 建築業者」を見つけなければ実現することはできないことから、「建築業者選び」は非常に重要です。逆に言えば、「土地」を決めて「建築業者」を決める。これらのポイントを押さえれば、希望の注文住宅はグッと近づくと言えます。

もし、この2つのポイントが満たされなければ、何かを妥協したりプランの大幅見直しをするなどの対応が必要になる他に、最悪の場合は注文住宅を断念して、建売住宅やマンションを購入される方もいらっしゃるのが実情です。注文住宅において、土地と建物の2つの検討が必要な側面は逃れることができませんが、「土地選び」「建築業者選び」の2つのポイントさえ押さえておけば、希望の注文住宅を建てることは決して難しいことではないでしょう。

5 注文住宅もITで身近に!

一生の中で最も高い買い物と言われる不動産。注文住宅は数ある住宅購入の選択肢の中で唯一家族や自分の希望を取り入れた住宅を設計することができます。最近ではハウスメーカーや工務店などの情報はインターネット上で見れるようになり、住宅展示場などに出向かなくても簡単に情報収集できるようになりつつあるものの、住宅を建てたい人(購入希望者)と建てる人(建築業者)の建築に関する専門知識の差を埋めることは難しいため、各建築業者から得た情報で何が正しいかを客観的に判断することは容易なことではありません。(提供:sumuzu

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