ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下、ディズニー)の2019年7~9期決算は純利益が半減した。にもかかわらず、株価は堅調そのもので年初来の上昇率は30%を超えている。後段で詳述する通り、11月に注目されていた動画配信(ストリーミング)サービス「ディズニープラス」や映画『アナと雪の女王2』が好発進となり、投資家に安心感が広がった模様だ。
2019年のディズニーの映画事業は、興行収入で世界歴代1位に躍り出た『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』、感謝祭ウィークの興行成績で過去最高を記録した『アナと雪の女王2』など6本がメガヒットを飛ばす好調ぶりである。『スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け』は冴えないスタートとなったものの、ウォール街の市場関係者からは楽観的な見方も根強い。
今回はディズニーの最新動向をリポートする。
2019年7~9月期決算は55%の減益
ディズニーの2019年7~9月期決算は増収減益だった。売上高が34%増の191億ドルとなる一方で、純利益は前年同期の23億2200万ドルから55%減の10億5400万ドルと半減した。継続事業の1株利益(希薄化調整後)は0.43ドルと前年同期の1.55ドルから72%減少。調整後1株利益も1.07ドルと同1.48ドルから28%減少している。動画配信サービス「ディズニープラス」等への先行投資が響き、2四半期連続の減益となった。
部門別では、中核となるテーマパーク事業の売上高が8%増の66億5500万ドル、営業利益が17%増の13億8100万ドルと好調だった。入場料の値上げや来訪者のグッズ購入、園内での飲食代の増加などが貢献した。ただ、それでも香港の抗議デモやハリケーン「ドリアン」の影響で伸びは抑制されたという。
放送事業の売上高は22%増の65億1000万ドルとテーマパーク事業と肩を並べる規模に成長した。営業利益は17億8300万ドルと3%減少したが、利益ベースでは稼ぎ頭となった。3月に21世紀フォックスを買収したことが拡大に寄与したが、一方で米プロフットボールリーグ(NFL)や米大リーグ(MLB)等の放映権が高騰し、収益を圧迫した側面もある。
映画事業はメガヒット連発、動画配信は赤字拡大
映画事業の売上高は52%増の33億1000万ドル、営業利益は79%増の10億7900万ドルといずれも大幅増となった。『ライオン・キング』や『トイ・ストーリー4』『アラジン』などのメガヒットが寄与した。ちなみに、2019年は上記3作品に加えて『キャプテン・マーベル』『アベンジャーズ/エンド・ゲーム』『アナと雪の女王2』の6作品の興行収入が10億ドルを突破するメガヒットとなった。
一方、動画配信事業の売上高は34億2800万ドルと前年同期の8億2500万ドルから約4倍増となった。5月にHuluを完全子会社したことが寄与した。ただ、営業損益は7億4000万ドルの赤字で、前年同期の3億4000万ドルの赤字から2倍以上に膨らんだ。前述の通り、動画配信サービス「ディズニープラス」等への先行投資が響いた。