外貨預金やFX (外国為替証拠金取引) で利益を得たという話を聞き、興味を持っている人も多いかもしれない。だが、どちらもどのような商品なのかよくわからないという声も聞く。初心者には外貨預金とFXのどちらが向いているのか、それぞれの仕組みや特徴を踏まえてご紹介したい。
外貨を利用する商品の特徴
外貨預金やFXを含め、外貨を利用した商品には大きく2つの共通したリスクがある。
1つ目は為替変動リスクだ。為替レートによって、利益を得たり損失を被ったりする。為替レートにより利益が不確実であることを為替変動リスクという。
2つ目はカントリーリスクだ。その国の政治や経済、社会情勢によって市場が混乱した場合、その国の通貨の価値が大きく下がったり流動性が低下したりすることもある。新興国は政情や経済基盤が不安定であるため、一般的に先進国よりもカントリーリスクが高いとされている。その国の事情により通貨価値が不安定になる可能性のことをカントリーリスクという。
外貨預金とは ?
外貨預金は、金融機関に外貨を預ける商品だ。利益の源泉は、受取利息と為替差益 (損) となる。為替リスクがあるため日本円での利益は確定していないが、円預金と同じように定期預金にすればその時点で金利は固定されており、外貨ベースでの受取利息は確定している。
預入れ時よりも円安に振れていれば利益が出る。また外貨のまま保有することができるため、円高に振れていて損失が出そうな場合、円安になるまで待つことで損失を回避することができる。また、外貨のまま引き出し、海外旅行時などに利用することも可能だ。
FXとは ?
FXの利益の源泉は、2つある。1つ目は為替レートの変動による差益 (損) だ。外貨預金と異なり為替レートの「変動の差」を狙うため、投資時点よりも為替レートが円安に振れて利益になる取引と、円高に振れた時利益になる取引を行えることが特徴だ。
2つ目はスワップポイントだ。低金利の通貨を売り、高金利の通貨を買った場合には金利の差額 (スワップポイント) を受け取ることができる。逆に高金利の通貨を売り、低金利の通貨を買った場合には支払いが生じる。
FXのメリットの1つは、手持ち資金以上の取引ができることだ。例えば、1万円の手持ち資金があった場合は本来1万円分の取引しかできないが、FXでは1万円を証拠金 (保証金のような役割) として、その数倍の資金を借り入れて取引を行える。元手が数倍になれば、当然利益が出た時には利益も数倍となるが、損失が出た時には損失も数倍となる。この倍率のことをレバレッジという。
またFXで利益を確定する場合、その都度ポジションの決済をする必要があるため、原則、外貨を保有することはできない。FXは、外貨預金のように気長に利益が出るのを待ちにくい商品だ。仮に利益が出るのを待っていたとしても、途中で損失 (含み損) が当初の元手 (証拠金額) の一定ラインを下回ると、強制的に取引が終了されてしまうからだ (レバレッジ取引をした場合) 。これを強制ロスカットという。
レバレッジを大きく設定すればするほど、少しの変動でも強制ロスカットになる可能性が高くなる。強制ロスカットを考慮すると、FXは短期間に売買を繰り返す可能性の高い短期保有商品といえるだろう。
初心者に向いているのはどっち ?
取引を始めるためには、外貨預金は銀行やネット銀行で、FXは証券会社やFX会社で口座を開設する。為替スプレッドは一般的にFXのほうが低いが、低く設定するネット銀行も増えてきている。
FXのレバレッジが1倍で、日本円より高金利な通貨を購入する場合、FXと外貨預金は強制ロスカットを除いてほぼ同じような運用をすることができる。しかしFXの魅力の1つがレバレッジをかけられることであるため、レバレッジをかけて短期で利益を狙いたくなるのが人間の心理だ。レバレッジをかけた時点で、FXは外貨預金よりも取引としてハイリスク・ハイリターンとなる。
FXでは短期的な為替レートの判断が必要となるため、外貨初心者は預けながら落ち着いて為替レートを判断できる外貨預金が始めやすいのではないだろうか。外貨預金、FXともにリスクを十分に理解した上で取引を開始していきたい。(提供:大和ネクスト銀行)
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