1990年代後半、便利な移動手段として若者の間で世界的ブームとなったキックボード。流行のピークが過ぎ、すっかり廃れてしまったと思いきや、実はアメリカやヨーロッパでブームが再燃しています。それも昔の自力タイプとは違い、モーターで動く電動式に進化しパワーアップしての再ブレイクです。
アメリカやヨーロッパで広がりつつある電動キックボード(電動スクーターともいう)ですが、日本では法律上の制限があることから普及していません。しかし、世界的な高まりをみせ、便利な移動手段として、日本でも実証実験が行われるなど注目されています。
コンパクトで便利な電動キックボードは、今後、都市部の交通渋滞、満員電車という社会課題を解決する乗り物になるかもしれません。さて、日本でもまたブームとなって普及するのでしょうか。
日本でも実証実験が始まった電動キックボード
電動キックボートは、日本では原動付自動車(原付)としてみなされています。車体が保安基準を満たし、原付の運転免許とヘルメットの着用が必要。そして、原付扱いなので、歩道を走れないなどの制限があります。こうしたハードルの高さが原因で、日本では盛り上がっていないのが実情です。
とはいえ、便利な乗り物であることは明らかです。また電動キックボードによって、交通渋滞が緩和され、自動車に乗らないことでCO2の削減に貢献するとなったら、どうでしょう。こうした社会課題の解決に注目した福岡市が、規制緩和を目指し、福岡市内では運転免許が不要で電動キックボードが乗れるよう国家戦略特区会議で特区申請するなどの動きをみせています。
この福岡市の動きに目をつけたのが、「LIME」「Bird」といったアメリカの電動キックボードメーカーです。2019年9月、福岡市で興味深い実験が行われました。LIMEとBirdが福岡市と連携し、東区の貝塚公園で電動キックボードの実証実験を行なったのです。このように、今日本でも少しずつですが電動キックボードの熱が高まりつつあります。
世界では電動キックボードが都市部の主要な移動手段に
とはいえ2019年現在、日本での普及は正直なところまだまだです。一方世界では電動キックボードが都市部の主要な移動手段になりつつあります。アメリカでは、すでに多くの都市で電動キックボードのシェアリングサービスが始まり人気です。ヨーロッパでもフランスのパリやドイツのベルリンなどで続々とシェアリングサービスが始まっています。
背景にあるのは、都市部の交通渋滞です。どの国も大都市の多くでは、自動車による交通渋滞が深刻な問題となっています。サンフランシスコの中心部では、1マイル(約1.6キロメートル)進むのに30分かかることもあるそうです。しかし電動キックボードであれば、原則渋滞とは無縁です。時速は最高で25~30キロ出るため、都市部での移動が快適になります。
またシェアリングサービスの電動キックボードは、GPSが搭載されていることから駐輪場を必要とせず、どこでも乗り捨てが可能なのも人気の理由になっています。料金も安価であることから、アメリカ、ヨーロッパの都市部で利用されています。UberやFordといった自動車関連企業も電動キックボード企業と提携し、投資を行うなど市場はこれからさらに活気づく可能性があるのです。
新たに出てきた電動キックボード問題とは?
電動キックボードに関する問題も生まれています。それは「乗り捨て」による都市景観や安全性に関する問題です。サンフランシスコでは歩道での走行や、ところかまわずの乗り捨てが目立ち、地域住民から苦情が相次いだことで一部企業が運営の中止を当局から求められています。かつてシェアサイクルが発達した中国では、乗り捨てが社会問題となり急速に市場は縮小しました。
また電動キックボードは時速約20キロ以上出ることから、より安全に考慮しなければなりません。この問題の解決が、さらなる普及のために必要とされるでしょう。
日本で電動キックボードを普及するための前提条件
日本においては、その前段階の問題があります。先にも書きましたが「法律」の問題です。日本で電動キックボードは、「原付」に分類されるため、原付免許が必要で16歳未満は乗ることができません。さらにナンバープレートの設置や登録なども必要となり、簡単に乗れるものではないのです。そのため日本での普及は、法律の緩和が前提となります。
電動キックボードは都市部の移動手段として期待が高まる
電動キックボードは、アメリカやヨーロッパでは都市部の移動手段として普及が進行中です。日本でも福岡市で実証実験が始まるなど、これからの普及が期待されています。都市部の交通渋滞は、日本においても問題になっています。また満員電車によるストレスやトラブルなども大きな社会問題といえるでしょう。電動キックボードは、そうした問題を解決する一翼を担うことになると思われます。
電動キックボードは「場所をとらない」「環境にやさしい」「渋滞とは無縁」とメリットが盛りだくさんです。法律による規制が緩和されさえすれば、日本でも一気に普及する可能性があります。数年後には日本でも当たり前のように電動キックボードを乗っている人を見かけるようになるかもしれません。 (提供:J.Score Style)
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