(本記事は、トマス・J・スタンリー氏(著)、広瀬順弘氏(訳)の著書『1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました』文響社の中から一部を抜粋・編集しています)

数字で見る億万長者の特徴

1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました
(画像=『1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました』より※クリックするとAmazonに飛びます)

さて、ここで、人口統計学的に見た蓄財優等生たちの調査結果を紹介しよう。アメリカで経済的に最も成功している男女の生の声で綴ると、こうなる。

家族構成

・私は54歳の男性です。妻と結婚して28年になります。私たちの4人に1人は同一配偶者と38年以上連れ添っています。

・子供の数は平均すると3人です。

・私たちの92%は結婚しています。そして、そのうちの95%に子供がいます。

・一度も結婚していない人は、わずか2%。約3%がパートナーに先立たれています。

資産と収入

・一世帯あたりの資産の平均は920万ドル。分布上最も多いのは純資産430万ドルの世帯ですが、私たちのなかにはずばぬけて裕福なスーパーリッチの回答者がいるために、平均値が押し上げられています。

・一世帯あたりの年間所得の平均は74万9000ドル。分布上最も多いのは43万6000ドルですが、年間100万ドル以上の所得のある人たち(20%)がいるために、ここでも平均値が押し上げられています。

・これだけの資産や所得があっても、私たちのグループの標準的メンバーは、4万1000ドル以上の車や4500ドル以上の婚約指輪を買ったことはありません。

私たち自身も配偶者も、髪をカットしてもらうのに38ドル(チップも含めて)以上かけたことはなく、少なくとも4人に1人は、髪のカットは24ドル、家は34万ドル、車なら3万900ドル、婚約指輪は1500ドル以下ですませています。

なお、結婚している人のなかには、7%ほど、婚約指輪を買わずにすませた人たちもいます。身内から受け継いだ指輪を贈ったのです。

相続財産

・私たちは高級住宅街に住んでいますが、その家や土地を相続によって手に入れた人はわずか2%です。

・財産の一部に遺産相続分が含まれている人もいます。相続した財産が純資産の半分以上を占める人が8%近くいます。しかし、私たちの61%は相続財産とか、金銭の贈与、遺産や信託から発生する収入とは無縁です。

居住地域

・私たちが住んでいるのは昔から定評のある高級住宅地で、そうした地域は全米で2000ヵ所以上あるでしょう。

具体的には、カンザス州のショーニー・ミッション、コネティカット州ニュー・カーナン、ヴァージニア州のリッチモンド、ペンシルヴェニア州のピッツバーグ、テキサス州のフォート・ワース、イリノイ州のケニルワース、オハイオ州のコロンバス、ジョージア州のアトランタ、ニュージャージー州のサミット、コロラド州のイングルウッド、オクラホマ州のタルサといった場所です。

住宅

・私たちの97%が持ち家に住んでいます。また、ほとんど住宅ローンは残っていません。

・現在の家に住んでいる年数は、平均すると12年。購入額の平均は55万8718ドルです。幸いにも、自宅の評価額はまずまずの割合で上昇していて、評価額の平均は138万1729ドルです。このように、自宅の評価額が上昇していることも純資産が増えている一因です。

・私たちの過半数(61%)が、時価100万ドル以上の家に住んでいます。しかし、購入時に100万ドル以上を支払ったのは25%だけです。

・約1割の人は、1987年の株式市場の急落から3年後に自宅を購入しました。その多くは抵当流れの物件でした。

・私たちが住んでいる家は、平均で築40年です。しかも4人に1人は、1936年以前に建てられた家に住んでいます。ここ10年以内に建てられた家に住んでいるのは1割にすぎません。

・53%の人は、過去10年のあいだ引っ越しをしていません。ここ10年間に2回以上の転居をしたのは23%にすぎません。

・注文住宅を建てたことがあるのは、私たちのグループの27%にとどまっています。ミリオネア・マインドを持つ人間は、建築業にクビを突っ込むよりも、中古の家を購入するほうがいいと考えるのです。そのほうが時間もかからないし、安上がりだからです。

・私たちのなかで、いちばん自宅を新築したがらないのは誰だと思いますか?なんと弁護士なんです!どうして弁護士は家を新築したがらないのか、よく考えてみる必要があります。

職業

・私たちの3人に1人(32%)は企業のオーナー、すなわち自営業者か企業家です。およそ6人に1人(16%)は、自分がオーナーではない企業の経営幹部です。

10人に1人は弁護士で、医者もほぼ同じ比率(9%)です。残り3分の1は、退職者と企業の中間管理職、会計士、技術者、建築家、教師、大学教授、主婦といった人たちが占めています。

・自営業者は私たちのグループで最もリッチな人たちだと言えますが、企業の経営幹部にもスーパーリッチ級の人が少なくありません。経営幹部は純資産100万ドル以上の億万長者の16%を占めていますが、純資産が1000万ドル以上のスーパーリッチ級では26%に達するのです。

・私たちの妻の半数近くは外で働いていません。妻が外で仕事をしている人たちの内訳は、自営業者・企業家(7%)、販売の専門職(5%)、中間管理職(4%)、弁護士(4%)、教師(3%)、経営幹部(3%)、医師(2%)などです。そして、外で働いていた妻たちの16%は現在引退しています。

・純資産1000万ドル以上の億万長者の3分の2は、妻は外で働いていないと回答しています。外で仕事をしている場合でも、その半数は非常勤です。

教育

・私たちは高等教育を受けています。90%以上が大学卒で、半数以上(52%)が修士号や博士号を取得しています。

億万長者の心をのぞいてみたら

こうした統計学的特徴に加えて、調査結果からはさらに、次のような億万長者たちの内面が見えてきた。

・私たちはローンに頼らずに、快適なライフスタイルを維持しています。

・私たちには、他の人たちが家を売りたがっているときに、家を購入する傾向があります。

・私たちは、家族があってこそ資産形成のプロセスが完全なものになると思っていますし、家族がその妨げになるとは考えていません。

・平均すると、海外で休暇を過ごすのは2年に一度ぐらいです。

・私たちのほとんどは自分で選んだ職業を大変気に入っています。

・資産を増やすために、早朝3時とか4時起きをして仕事をする必要があると考える者はほとんどいません。

・多くの人はゴルフとテニス、またはそのどちらかを定期的にやっています。じつは、ゴルフをすることと純資産のレベルとのあいだには密接なつながりがあるのです。

・投資の計画には時間をかけていますし、税金対策も専門家に頻繁に相談しています。それでも私たちの多くは教会の礼拝に出席しますし、慈善活動にも時間を割いています。

・プライベートな活動の場で出会った人が、依頼人や顧客、患者、納入業者、あるいは大の親友になることは珍しくありません。

・私たちの活動の多くには、古い格言がよく当てはまります。つまり、「人生でいちばんよいものはみな金がかからないか、かかったとしても大したことはない」ということです。

息子や娘たちのスポーツ大会を見に行ったり、博物館めぐりとか、親友とトランプをするのに大して金はかからないし、カジノで遊ぶことに比べたら格段に安上がりです。

この5つがなければ金持ちにはなれない!

億万長者たちに30項目の質問をし、彼らが経済的に成功した要因として〈非常に重要〉と回答した要素について説明する。なかには、意外と思われる要素も含まれているだろう──現実に成功しているミリオネアは、ハリウッド映画に出てくる紋切り型の大金持ちとは大ちがいなのだ。

経済的成功を導いた要因として、多くの億万長者が挙げた〈非常に重要〉なファクターとは何か?その上位5つを下に記しておくので、ぜひカードか小さな紙片などに書きとめておいていただきたい。

そして、それを財布やハンドバッグに入れて持ち歩き、テレビにも貼りつけておいて、次に宝くじやカジノの宣伝に心が惹かれそうになったら、ちらっと目をやっていただきたい。そうした宣伝は「一攫千金のチャンスは運しだい」と訴えているが、果たしてリストには何とあったか?経済的成功を収めるための礎石とは──

誠実──誰に対しても正直であること。
自己鍛練──自分で自分をコントロールすること。
社会性──人とうまくやっていくこと。
配偶者の支えがあること。
勤勉──ふつうの人より一生懸命に働くこと。

運という要素は、億万長者が挙げる成功の要因のなかで、どのあたりにランクされるのだろうか?30ある要因の最下位に近い27番目である。

私が面接調査したミリオネアのうち、一人としてギャンブルについてよく言う人はいなかった。

なかには、こう反論する向きもあろう。前述の5つの成功要素を持っているのに億万長者になれなかった人も多いのではないか?これらの5つの要素はあくまで基本的なものである。この5つのうち1つ以上欠けていたらどうだろう?

私の調査結果では、ミリオネアになる見込みはほとんどない。逆に、5つの要素だけでなく他の要素もいくつか持っている人は、今はまだ金持ちではなくても、将来ミリオネアの仲間入りをする可能性が高い。ではもう一度、億万長者自身の口から語ってもらうことにしよう。

・一代でどうやって億万長者になったかですって?私たちの多くが、人が目を向けないようなところでビジネスチャンスを見つけているんですよ。

・自分には強いリーダーとしての素質があると、たいていのミリオネアは言うでしょう。私たちには自分のアイデアを人に売り込む能力があるのです。

・私たちは、根強い需要がある製品やサービスをほぼ独占的に提供しているから金持ちになれたのです。競争相手が目白押しの分野に参入したりしません。

1億円貯める方法をお金持ち1371人に聞きました
トマス・J・スタンリー
アメリカにおける富裕層マーケティングの第一人者。ジョージア州立大学の教授職を経て、ニューヨーク州立大学オルバニー校マーケティング学部の教授となり、1973年にアメリカ全土の億万長者を対象とした初の大規模調査を実施。富裕層向けビジネスを行なう企業や金融機関へのアドバイザーとして活躍。2015年逝去。主な著書にベストセラー『となりの億万長者』(早川書房)。
広瀬順弘(ひろせ・まさひろ)
1932年東京生まれ。青山学院大学英米文学科卒業。アメリカ大使館広報文化局勤務を経て翻訳家となる。フィクション、ノンフィクションを問わず幅広く活躍。2007年逝去。

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