トップの自己革新には覚悟が不可欠。
過去において何度となく取り上げたテーマの一つに「自己革新」がある。
今回は、トップの「自己革新」について考えてみたい。
ある企業コンサルタントの一言。「会社は良くも悪くもトップ次第です」。どんな赤字の会社でも、トップが変われば一年もしないうちに黒字転換できるし、見違えるほどの成長軌道に乗せることができるのだという。小生も仕事を通して、多くの中小企業経営者とお付き合いさせていただいているが、確かに良くも悪くも、トップ次第だなと思うことが多い。経営革新を断行するとき、まずは、トップの「自己革新」からスタートしなければ、何ら効果が生じないことが多いのである。
だが、これはなかなか難しい課題である。なぜならば、人材や資金不足等を嘆くが、多くの経営者は、自分自身の経営手腕そのものに業績不振の原因があると思っていないからである。
たとえば「やるべきことはたくさんあるのに、人材不足だ」と嘆く。
そこで、いくつかの質問を投げかけてみる。
- 経営理念や人材ヴィジョンは明確になっていますか?
- 5年後、10年後の会社のヴィジョンは明確になっていますか?
- 社長自身がやるべきこと、やるべきでないことは明確に区分できていますか?
- すべての責任を取る覚悟はできていますか?
- 後継者の育成は万全ですか?
- 自らの引き際は明確にしていますか?
- 現場を掌握する仕組みはできていますか?
トップの姿勢として、外にも問うべきことはあると思うが、以上のことについても具体的な答えをいただくのは意外と少ないのである。
昔から、「他人と過去は変えられない」という言葉があるように、トップ自らが率先して「自己革新」をしなければ、組織も社員も変えることは難しいのである。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみて、ほめてやらねば、人は動かじ」(山本五十六)という有名な言葉があるように、トップの姿勢や考え方そして行動にすべてが委ねられていると思って「自己革新」をするしかない。
「自己革新」とは、あるべき姿(新しい自分)と現状(古い自分)との差を認識し、その差を埋める戦い、すなわち自分との戦いである。
自らの価値観(思考の枠組み)を変え、行動を変える戦いなのである。
それゆえに、まずは、トップの「自己革新」、覚悟が求められるのである。
夢や志が自分を強くする。
小生の好きな言葉の一つに、『「夢や志」を持つと自分が思っている以上に、人間は強くなれる』というのがある。
もうだいぶ前であるが、はじめて、この言葉に出逢ったとき、「なるほど、夢や志にはそんな効用があるのだ」と、得心した気分であった。
だが、そのうち、「夢や志を持っている自分自身は、どれほど強くなれたのだろうか?」、また「夢や志を持つと、なぜ人間は強くなれるのか?」等々、考えているうちに段々確信を持てるようになった。
最近では、小生の「未来会計セミナー」では、必ず未来会計を導入し、実践することの効用の一つとして、この言葉を引用し、語るようにしている。
なぜ、そうなのかを考えてみよう。
ある問題に直面したとしよう。「夢や志」を持っていない人は、その問題を解決しようとするとき、どうするだろうか?
自分の過去の経験(過去の自分)に相談をするだろう。そして、過去の経験で解決できないとなると、「仕方がない」とあきらめてしまう人が多い。いまは、過去と未来が繋がっていない時代だから、なおさら、そうなってしまう傾向にある。
では、「夢や志」を持っている人はどうするのか?「未来の自分」に相談する。つまり、成長した暁の未来の自分を思い描き、解決の糸口を探ろうとする。または、自分の尊敬できる人を自らの理想像として掲げている人の場合(ほとんどの人がそうである)、その人だったらどうするのだろうかと、その人の頭を借りて考えようとする。
だから、自分の限界を超えて、自分の思っている以上の力が湧いてくるのである。
一度きりしかない人生、その人生をどう生きるのか……。人生の目的を改めて問うことが多いこの頃であるが、究極のところ、「自己の完成」に尽きると考える。では、完成すべき自己とは何か?そのあるべき姿は……?
「夢や志」、そのあるべき姿や具体的な目標設定を描き、実現するための計画づくりをお手伝いしているが、確かに、計画をつくり上げた社長には前向きなエネルギーがあふれているのを実感できる。
ヘーゲルの言葉に、「人間は価値ある目的を持ったその時から、その人の人生のあらゆる出逢いが価値あるものになってくる」とあるが、まさにその通りである。
確かに、「夢や志」は、自らをその場の苦難よりも一段上に置くことができるような出逢いを創出してくれる。つまり、ステージの次元が変わっていくのである。
「夢や志」は、「跳躍力UP(=異次元の成長)」のためにも、重要である。
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