結果の概要:許可件数は市場予想を下回ったものの、着工件数は大幅に上回る
1月17日、米国センサス局は12月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は160.8万件(前月改定値:137.5万件)と136.5万件から上方修正された前月値を上回ったほか、市場予想の138.0万件(Bloomberg集計の中央値)も大幅に上回った(図表1、図表3)。12月の着工件数は06年12月(164.9万件)以来の水準である。
住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は141.6万件(前月:147.4万件)と、こちらは148.2万件から下方修正された前月、市場予想の146.0万件を下回った(図表2、図表5)。
結果の評価:着工件数の増加基調が持続、10-12月期住宅投資は2期連続プラス成長へ
住宅着工件数の伸びは、前月比+16.9%(前月:+2.6%)と3ヵ月連続のプラスとなったほか、前月から伸びが大幅に加速した(図表3)。内訳をみると、戸建てが+11.2%(前月:+3.8%)、集合住宅も+29.8%(前月:横ばい)と、いずれも前月から大幅に伸びが加速した(図表4)。
前年同月比では+40.8%(前月:+14.4%)と7ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+29.6%(前月:+18.0%)と7ヵ月連続でプラスとなったほか、集合住宅は+68.6%(前月:+7.0%)とこちらも9ヵ月連続のプラスとなった。また、戸建て、集合住宅ともに前月から伸びが大幅に加速した。
地域別寄与度(前月比)は、北東部が+2.0%ポイント(前月:▲0.7%ポイント)、中西部が+5.0%ポイント(前月:+0.4%ポイント)、南部が+5.0%ポイント(前月:+3.7%ポイント)、西部が+4.9%ポイント(前月:▲0.8%ポイント)とすべての地域でプラスとなった。
一方、先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲3.9%(前月:+0.9%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表5)。戸建てが▲0.5%(前月:+1.1%)と8ヵ月ぶりにマイナスに転じたほか、集合住宅も▲9.6%(前月:+0.5%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表6)。
前年同月比は+5.8%(前月:+10.5%)と6ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+10.8%(前月:+9.3%)と5ヵ月連続のプラスとなった一方、集合住宅は▲2.3%(前月:+12.6%)と6ヵ月ぶりにマイナスに転じた。
一方、住宅着工件数と許可件数の3ヵ月移動平均、3ヵ月前比は年率で12月がそれぞれ+59.8%(9月:+8.5%)、+22.8%(9月:36.9%)となった(図表7)。足元で住宅着工、許可件数ともに2桁の伸びとなっているほか、着工件数は9月から伸びが大幅に加速していることが分かる。
GDPにおける住宅投資は7-9月期が前期比年率+4.6%(前期:▲3.0%)と7期ぶりにプラス成長となった。住宅着工が好調であることを考えると、1月30日発表の10-12月期の住宅投資も2期連続でプラス成長となる可能性が高い。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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