プライベートカンパニーを実際に設立・運営しているたぱぞうさんに3回にわたってお話を伺った。「デメリットは無い」と言い切れるほど、資産管理の手段として優れているプライベートカンパニーだが、どんな人にとっても価値があるというわけではない。

本記事では、どの程度の収入や資産がある場合にプライベートカンパニーを活用できるのか、起業に必要な費用の内訳や節税する際のポイントなど、設立・運用にあたっての基本事項をまとめた。

最後にたぱぞうさんおすすめの著者による税・資産形成に関する書籍も紹介しているので、エッセンスとして参考にしてほしい。

プライベートカンパニーを設立すべき資産のライン

PIXTA,ZUU online
(画像=PIXTA,ZUU online)

たぱぞうさんも語っていたとおり、プライベートカンパニーを設立する一番のメリットはタックスマネジメントだ。個人のサラリーマンとして支払う所得税と法人税とでは税率が異なることや、法人であれば売り上げから経費を差し引いて課税所得を少なくできることが大きなポイントになる。

では、どの程度の年収や資産がある場合に法人化の恩恵を受けられるのか。法人税法における経費となる範囲は幅広く、人によって条件や描くスキームも異なるためはっきりとラインを引くことは難しいが、単純な目安を考えることはできる。まずは個人に課される所得税の税率から見てみたい。

課税される所得金額

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さらに、以下は資本金1億円以下の普通法人の場合の法人税の税率だ。

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※2019年4月1日以後に開始する事業年度において適用除外事業者(その事業年度開始の日前3年以内に終了した各事業年度の所得金額の年平均額が15億円を超える法人などをいいます。)に該当する法人の年800万円以下の部分については、19%の税率が適用されます。

上記の所得税・法人税のみで考えると、年収約700~800万円が、法人税が所得税よりも安くなる目安となる。

設立に必要な資金は最低6万円から

会社を設立するというと人生を変えるようなビッグイベントに思えるが、費用面のハードルは低い。最低限会社を作るだけなら基本的に必要になるのは登記費用のみだからだ。

株式会社の登記費用で大きな額となるのは登録免許税の15万円(または資本金額の0.7%のうち高いほう)と定款用収入印紙代4万円、定款認証手数料5万円だ。定款は会社活動に関する根本原則を記した書類のことで、登記手続きを行う際に必要になる。合計すると約24万円だ。

合同会社の場合は株式会社より若干安く、登録免許税は6万円だ。株式会社と同じく定款印紙代が4万円だが、定款認証手数料は不要となる。合計約10万円となるので、費用的には合同会社の方が設立しやすいと言える。

電子定款を用いた場合は印紙が不要になるため、それぞれ4万円が浮くことになる。つまり株式会社は最低20万円、合同会社は最低6万円で設立できるということだ。

法人登記の手続きをすべて司法書士に依頼する場合、ここに報酬をプラスすることになる。

資本金1円で起業するのはデメリットを理解したうえで