新型コロナウイルスによる肺炎の拡大を背景に、株式市場では感染対策に関連する銘柄の物色が止まらない。防護服のアゼアス(3161・(2))や医療用衛生材料の川本産業(3604・(2))はこの日で、年初来の上昇率が2・4倍に達した。高値警戒感も指摘されるが、中国の春節(旧正月)連休が始まることもあり話題性は強い。まだ埋もれている有力銘柄もありそうだ。

新型肺炎対策
(画像=PIXTA)

新型コロナウイルスの感染者数は既に500人を大きく上回り、発信源の中国の湖北省武漢市の外にも広がっている。地元当局は感染拡大を防ぐため、現地からの航空便や鉄道の運行を23日に休止するなど封じ込めに躍起だが、WHO(世界保健機関)が22、23日と緊急会合を開くなど公衆衛生をめぐる不安は世界的に膨らんでいる。

日本の株式市場では水際対策を思惑視し、アゼアスやサーモグラフィの日本アビオニクス(6946・(2))、防毒マスクの重松製作所(7980・JQ)といった銘柄が先行して買われてきた。これらへの注目度は依然として高く、さらには物色の矛先は個々人が心掛ける感染の予防にも広がっている。消毒薬のニイタカ(4465)はここ3営業日で約5割上昇。大幸薬品(4574)も根強い買いに支えられている。高性能の日本製マスクは人気が高く、シキボウ(3109)なども上昇した。

もっとも、こうした銘柄には過熱感があることも事実だ。このため、ここからは出遅れ組に視点を移したい。

日本での感染対策の動きは今後、企業や公共施設でも本格化することが予想される。そこで浮上するのが、受付などで来客者の除菌を徹底するための手指消毒器だ。浮上するのが文具事務用品のキングジム(7962)。同社は自動手指消毒器「アルサット」を手掛け、このテーマに乗ることのできる存在だ。

アルサットはまだ新型コロナウイルスに絡んだ大きな動きは出ていないもようだが、価格が手ごろな上、電池式で設置場所を選ばない同製品の潜在需要は大きい。市販の消毒液を使用できる点も重宝される。オフィスや病院、飲食店など向けに売上が拡大する可能性がある。株価は昨年終盤の安値を底に切り返しつつある。

水の宅配事業を手掛けるナック(9788)は、除菌に役立つ次亜塩素酸水溶液の一般販売に乗り出している。次亜塩素酸水は強い酸化作用を持ち、ウイルスや菌の除去に効果的だ。食品業界向けに先行的に使われており、他の手法が効きにくいノロウイルスなどにも有効なため、近年では一般家庭用に使われるケースも多い。同社のIR広報室では「問い合わせは増えている」とコメント。パナソニック(6752)が家庭用除菌脱臭用機器に使い販売を強化していることも、認知度の向上につながっている。

ナックは今3月期、連結営業利益22億円(前期比8%増)を計画。キングジムとともにまだ今回の新型コロナウイルスの騒動に絡んで物色された形跡はなく、新たな資金の受け皿として期待される。(1月24日株式新聞掲載記事)

>>話題のテーマや注目株を一足早くお届け「株式新聞WEB」限定プレミアム銘柄も

【関連株式ニュース 株式新聞へ】
日経平均は35円高、売買代金上位は日電産、任天堂、ネットワンなど
あすか薬が急伸、甲状腺ホルモン製剤の製造販売承認を取得
ハピネットが急落、通期の業績予想を下方修正
マザーズ指数大幅安、メルカリが大幅安=新興市場・24日
<個別株動向>ヤマトHD、ジャフコ、ピアラ、富士電機、アンジェス=24日後場