台風や地震、洪水など大規模災害がいつ起こるかはだれにもわかりません。また災害以外にも不動産に害を与えうるリスクはさまざまあり、被害金額が大きければ賃貸経営に大きなダメージとなってしまうでしょう。今回はそのようなリスクに備えるための損害保険について整理します。
水災も風災も火災保険の対象になる
2019年9~10月には台風15号、台風19号と大規模な台風が連続して日本へ大きな爪痕を残しました。台風が直撃すると強風で屋根が飛ばされたり川が氾濫して浸水したり土砂崩れに遭ったりするなど家屋が大きな被害に遭う可能性があります。万が一所有する賃貸物件がそのような被害に遭ったときに役立つのが「火災保険」です。
火災保険というと火災の被害しかカバーされないイメージがあるかもしれませんが、決してそんなことはありません。火災以外の災害もカバーする「住宅総合保険」が各社とも主力商品です。住宅総合保険では以下のような損害が補償されます。
・風災、ひょう災、雪災
・水濡れ
・騒じょうなどによる暴力行為もしくは破壊行為
・ガス爆発などの破裂・爆発
・盗難
・水災
・自動車の飛び込みなどによる飛来・落下・衝突など
例えば「台風によって屋根が飛んだ」といった場合は風災、「川が氾濫して浸水した」といった場合は水災に当てはまる可能性があります。ただし保険会社によって補償内容はさまざまです。所有物件の火災保険がどのような補償内容になっているか、確認しておくとよいでしょう。
地震が原因の火災は、通常の火災保険の対象外
地震による被害をカバーするのは地震保険です。地震保険は単独では契約できず火災保険とセットでの契約となります。ただ地震保険は保険料が高く、また契約金額は最大で火災保険の契約金額の50%までとなっているため、地震で全壊しても支払われる保険金には一定の上限があるということです。そのため火災保険には入っても地震保険には入っていないというオーナーは多いかもしれません。
地震保険に入っていないオーナーが知っておきたいのは、地震による火災や津波で建物が被害に遭っても火災保険では補償されないという点です。したがって地震による火災の被害に備えるには、地震保険に入っておく必要があります。経済産業省の資料によると、東日本大震災では本震によって111件の火災が発生しました。地盤の強いところに建つ建物だったとしても周囲に住宅が密集していれば、もらい火によって火災の被害に遭う可能性はあります。そのため所有物件の状況に合わせて地震保険の加入も検討しておきたいところです。
賃貸不動産なら入っておきたい施設賠償責任保険
賃貸物件を所有するオーナーには施設の安全性を維持・管理する責任があります。施設の不備が原因で他人にケガをさせたり被害を与えたりすれば損害賠償を請求される可能性もあるのです。そのようなときに役立つのが「施設賠償責任保険」。具体的に想定される事例としては、「建物の壁が落下して、通行していた車にぶつかった」「エレベーターの誤作動により入居者にケガをさせた」といったケースが保険金支払いの対象です。
実際に起こるケースは少ないかもしれませんが、起これば損害賠償額は大きなものになります。施設賠償責任保険は保険料が比較的安いので万が一のために入っておいて損はありません。
年々増える孤独死にも保険で対応
高齢化が進むにつれて問題となっているのが孤独死です。東京都福祉保健局が公表している東京都監察医務院で取り扱ったデータによると、東京23区において一人暮らしの65歳以上の人が自宅で死亡した数は以下のように増加傾向です。
年度 | 東京23区において一人暮らしの65歳以上の人が自宅で死亡した数 |
---|---|
2015年 | 3,116人 |
2016年 | 3,175人 |
2017年 | 3,319人 |
2018年 | 3,867人 |
所有物件で孤独死が発生すれば、原状回復のために多額の費用がかかるだけでなく、いわゆる「事故物件」扱いとなって家賃下落や長期空室といったダメージを受ける可能性があります。そのようなリスクに対応するのが「孤独死保険」です。孤独死保険は各社から次々と商品が出てきており、補償内容も多岐にわたるため、入居者の属性などを考慮して加入を検討してみてもよいでしょう。(提供:相続MEMO)
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