法改正で後押し、五輪も控え設備投資加速へ

バリアフリー
(画像=PIXTA)

通常国会がスタートして1週間が経過した。今国会は介護、年金など社会福祉の分野の政府法案が手厚いことが特徴の一つ。そうした中、注目されるのが国土交通省によるバリアフリー法改正案だ。東京五輪の開幕も控え、関連する設備投資が加速しそうだ。関連銘柄としてジャパンエレベーターサービスホールディングス(=JESHD、6544)、幸和製作所(7807・JQ)、アプリックス(=APLIX、3727・M)に注目したい。

JESHD――エレベーター最右翼、「2020年問題」で活躍

エレベーターは足の不自由な人にとって欠かせない移動手段。古い設備の更新をバリアフリー推進が後押しする。保守を手掛けるジャパンエレベーターサービスホールディングス(JESHD)には商機が広がる。

同社は高いコスト競争力に加え、設備を遠隔で点検・診断する技術を武器に保守契約台数を増やしている。エレベーターは1990年代に大量に設置され、それらの多くが耐用年数に差し掛かる「2020年問題」を抱える。バりアフリー社会をうたう上でも更新は喫緊の課題。同社は制御盤だけを交換することでコストと工期を縮小する独自サービスも展開する。

今3月期上期の連結営業利益は12億円(前年同期比57%増)と好調。第3四半期決算の発表は2月7日に控える。株価は長期上昇トレンドの中、直近の全体相場の波乱で押し目を形成している。

幸和製作所――福祉設備業者を買収、シナジー発揮へ

介護機器の幸和製作所は高齢者が使う歩行車や車いす、入浴補助用具などを主力とする。一方、手すりや段差解消スロープなどの福祉設備を製造するシクロケアを昨年3月に買収。バリアフリーの分野でも需要を取り込める体制となった

子会社となったシクロケアは被介護者の要望を聞き、居宅の状況に合わせてオーダーメードで住宅改修用品を提供する。幸和製作所の既存事業とのシナジー(相乗)効果が見込まれるだけに、収益成長の新たな起爆剤になりそうだ。

今2月期は介護サービス事業でののれん減損もあり連結最終損益が3.6億円の赤字(前期並み)にとどまる見込みだが、来期の巻き返しが期待される。

幸和製作所は産業技術総合研究所(産総研)と開発した転落防止ロボット歩行車の投入も予定するなど、このテーマに関する材料は豊富だ。

APLIX――「ビーコン」に出番、相場は本格上昇へ

IoT(モノのインターネット)やAI(人工知能)などの技術革新の波は、バリアフリー関連製品にも広がる。アプリックス(APLIX)の手掛ける無線技術「ビーコン」が、清水建設(1803)や日本IBMなどが展開する音声ナビゲーションシステムに採用され、活躍の場が広がりそうだ。

見守りアプリや、声で開閉を操作できるスマートドアなど、IT技術を駆使したバリアフリー化で、施設の使い勝手が向上した例は多い。アプリックスが絡む音声ナビは、障害者から妊婦、外国人まで幅広いタイプの人々の利便性改善が期待される。

音声ナビはスマホを用い、対話形式で利用者ごとに適した経路を案内する仕組み。例えば、車いすを使う人には階段のないルートを指示し、一般の人には最短経路が案内される。アプリックスのビーコンは、その際に利用者の施設内での正確な位置を把握するために使われる。

低水準で推移してきた相場は休養十分。循環物色を呼び込みそうだ。(1月29日株式新聞掲載記事)

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