日経平均は一時2万3,000円割れ

資金動向
(画像=PIXTA)

2019年9月以降、上昇基調が続いた日本日経平均株価が12月に2018年10月以来、約1年2カ月ぶりに一時期2万4,000円台に乗せる場面もあるなど、2019年はバブル崩壊した1991年以降での最高値で終えた。それが2020年に入ると、いきなり中東情勢に揺らされる展開となった。株式。中東情勢の緊迫化によって下落して始まったものの、ほんの数日で緊迫感が後退したため反発した。1月中旬になると米中問題の進展したことや為替市場で円安が進行したことなどを好感し、約1カ月ぶりに2万4,000円を回復した。その後は中国発の新型肺炎の拡大が嫌気され大きく下落し、30日や2月3日には2万3,000円を下回った。ただ2月4日以降は再び反発し、日経平均株価は2万3,800円台まで戻している。

このように株価の値動きが激しい状況となる中、投資家がどのような投資行動を取っているのか(上場していない)インデックス・ファンドとETFの資金動向をみる。

インデックス・ファンドは逆張り

まず、インデックス・ファンド(1)の日次の資金動向をみる【図表1】。中東問題の緊迫化によって日経平均株価が2万3,200円台まで下落した翌営業日の1月7日、9日と100億円前後の資金流入(プラス)があった。その後は株価が反発すると資金流出(マイナス)に転じたが、新型肺炎によって1月21日以降、株価が再び下落するとともに、再び資金流入基調となった。特に大きく下落した1月27日の翌営業日の28日や、日経平均株価が2万3,000円割れした1月30日と2月3日の翌営業日である1月31日と2月4日の資金流入が大きく、逆張り投資の傾向が顕著であった。

資金動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)

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(1)日本籍追加型株式投信でTOPIXや日経平均株価などの日本株式の指数に連動した運用をしているもの。ETF、SMA専用、 DC専用は除外。

強気型ETFも逆張り

では、インデックス・ファンドより短期投資に用いられる株価が上がると大きく値上がりする強気型ETF、株価が下がると大きく値上がりする弱気型ETFの資金動向はどうだったのか。代表的な強気型ETF(2)と代表的な弱気型ETF(3)の足元の日次推計資金流出入をみる【図表2】。

強気型ETFもインデックス・ファンドと同じような資金の動きで、1月6日、27日、28日、30日に大規模な資金流入(プラス)があり、逆張り投資の傾向が確認できる。特に30日の資金流入が300億円に迫り最大であったことを踏まえると、日経平均株価2万3,000円を意識する投資家が多かったのかもしれない。その一方で弱気型ETFの資金の動きは、概ね強気型ETFと逆になっており、1月6日、8日、27日、28日、30日の資金流出(マイナス)が大きかった。

資金動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)

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(2)NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信:概ね日経平均株価の2倍動くETF
(3)NEXT FUNDS 日経平均ダブルインバース・インデックス連動型上場投信:概ね日経平均株価の逆方向に2倍動くETF

最後に

新年早々、中東情勢に新型肺炎と新たな問題に直面した日本株式ではあったが、インデックス・ファンド、強気型ETFともに逆張り投資は健在であった。1月下旬は日経平均株価が2万3,000円前後で底堅く推移したたが、このような逆張り投資が日本株式を買い支えた面があるだろう。

ただ、その一方で中長期の投資が多いと思われる国内株式のアクティブ・ファンド(黄棒)は昨年2月から資金流出が続いており、この1月も資金流出が止まらなかった【図表3】。株価が下落してもアクティブ・ファンドを買い戻す動きはほとんど見られなかった。そのため、株価が下落した際にインデックス・ファンドに入ってきた資金大部分は、強気型ETFと同様に足が速い資金なのかもしれない。

資金動向
(画像=ニッセイ基礎研究所)

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前山裕亮(まえやまゆうすけ)
ニッセイ基礎研究所 金融研究部 准主任研究員

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