TDアメリトレード社の依頼で実施されたハリス世論調査によると、学生ローンの債務に対する教育支出がアメリカ人の主な経済的混乱の要因となっている。失業や低賃金の仕事に就かなければならないことを上回る結果となった。

過去5年間で増大したのは教育費の問題だけだった。

TDアメリトレード社個人向け部門のマネジング・ディレクター、トム・ブッチ氏は声明で、「失業率の低さと市場の好調さが、5年前に最も懸念されていたことを鈍らせたように思われる。このため相対的に教育費が混乱の原因として浮上している」と述べた。

ハリス世論調査は昨年8月、1万ドル以上の資産を持つ23歳以上のアメリカ人成人1,015人を対象にオンライン調査を行った。今回の調査では、金融状況の混乱がどのような原因で起きているかを示す。

自己または他の扶養家族の教育:16%
失業・低賃金:15%
経済的支援:13%
投資・業績不振:10%
事故・疾病・障害・就労不能:10%
離婚・別居・未亡人:10%
家族計画:9%
自宅購入計画:8%

調査によると、ミレニアル世代は最も財政的に破綻している世代であり、ほぼ全てのカテゴリー(離婚・別居・未亡人を除く)で財政的破綻を経験する可能性が最も高い。

ブッチ氏は、「多くの若い米国人は現在、過去の債務を返済しながら未来のために貯金しようと奮闘している。学生ローンの返済、退職への準備、子供たちの大学のための貯蓄の間で、長期的な財政安定への道を開くために微妙なバランスを取っている」と語った。 また同調査では、他の人たちへの金銭的支援が最も影響のある破壊行為となり、毎月の貯蓄・投資の中央値を80%低下させた。

2014年と2019年の金融危機の比較

同調査は、財政的に破綻している米国人にとって明るい材料も示す。2019年に金融ショックを経験したと答えた人たちは、その5年前に答えた人たちよりも準備ができていた。

また2019年の調査では、教育支出を除く全ての分野で、混乱が生じた回答者の割合は著しく低下した。2019年には回答者の15%が失業あるいは減給されたと答え、2014年の43%から減少した。

今回調査の回答者の48%は安定した信頼できる収入を得ており、2014年の40%と比ベて増加した。また45%は緊急時のために貯金をしており、前回の33%から増加した。

2019年には、米国人の約4分の1が長期退職のための貯蓄や投資を停止しなければならなかったのに対し、2014年には38%だった。一方、退職後の貯蓄から資金を引き出さなければならなかったのは20%で、5年間前の26%から減少した。

もっとも回答者の56%は長期的な財務目標をまだ達成できていない。

同調査によると、2019年の混乱による経済的影響は、平均して5年前より33%長く続いた。今回調査では、混乱が続いたのは2014年の4年8か月に比べて6年3か月だった。

今後の脅威

将来に関しては、2019年調査で米国人の47%が生活費の上昇が最も財政的な安全保障と長期的な投資を脅かしていると回答した。医療費の増加は44%、景気後退・減速が34%だった。

調査に参加したミレニアル世代は、生活費の上昇が、他の潜在的な問題よりも金融安定と長期投資を危険にさらすと懸念した。

X世代やベビーブーマー世代にとって、将来を心配する主な要因である医療費の増加は、生活費の上昇をわずかに上回った。

若い世代の回答者にはあまり心配されなかったその他の懸念は、景気減速・不況、長寿、および物的損害をもたらす自然災害だった。一方、ミレニアル世代は自動化による雇用喪失について世代間で最も懸念を示した。

Michael S. Fischer

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