結果の概要:着工件数、許可件数ともに市場予想を上回る結果

米国,住宅着工、許可件数
(画像=PIXTA)

2月19日、米国センサス局は1月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は156.7万件(前月改定値:162.6万件)と160.8万件から上方修正された前月値を下回った一方、市場予想の142.8万件(Bloomberg集計の中央値)は上回った(図表1、図表3)。

住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は155.1万件(前月改定値:142.0万件)と、こちらは141.6万件から上方修正された前月、市場予想の145.0万件を上回った(図表2、図表5)。

米国,住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

結果の評価:着工件数は好調であった前月からは減少も高水準を維持

住宅着工件数の伸びは、前月比▲3.6%(前月:+17.7%)と2桁の増加となった前月の反動もあって、4ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表3)。内訳をみると、集合住宅が+0.7%(前月:+25.4%)とプラスを維持した一方、戸建てが▲5.9%(前月:+14.1%)と4ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表4)。

前年同月比では+21.4%(前月:+42.4%)と8ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+4.6%(前月:+31.8%)となったほか、集合住宅は+71.4%(前月:+68.6%)と13年3月(+73.1%)以来の伸びとなった。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が+2.6%ポイント(前月:+2.0%ポイント)、西部が+0.3%ポイント(前月:+5.2%ポイント)とプラスを維持したものの、中西部が▲3.9%ポイント(前月:+5.1%ポイント)、南部が▲2.7%ポイント(前月:+5.4%ポイント)とマイナスとなるなど、地域によってまちまちの結果となった。

米国,住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

一方、先行指標である住宅着工許可件数は、前月比+9.2%(前月:▲3.7%)と前月からプラスに転じた(図表5)。戸建てが+6.4%(前月:+0.8%)と9ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅も+14.6%(前月:▲11.0%)とプラスに転じた(図表6)。

前年同月比は+17.9%(前月:+6.0%)と7ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+20.2%(前月:+12.2%)と6ヵ月連続のプラスとなったほか、集合住宅も+13.9%(前月:▲3.9%)と前月からプラスに転じた。

米国,住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、2月が74(前月:75)と前月から▲1ポイント低下した(図表7)。これで2ヵ月連続の低下となったが、17年12月以来の高水準は維持している。

米国,住宅着工、許可件数
(画像=ニッセイ基礎研究所)

指数の内訳は販売現況が80(前月:81)、販売見込みが79(前月:80)、客足が57(前月:58)といずれも前月から▲1ポイント低下した。

NAHBのチーフエコノミストは、住宅需要が高まる中、建設労働者の不足や用地不足が手頃な住宅の生産を妨げているとしており、依然として労働力不足が供給制約となっている状況を示した。

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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員

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