「オーマイガッ! ハマー復活だ」ピザを頬張っていた友人がそう叫んだ。2月2日、筆者は友人宅でアメリカンフットボールの年間王者決定戦「スーパーボウル」を観戦していた。2019年シーズンのチャンピオンの座をかけて、カンザスシティ・チーフスとサンフランシスコ・49ersが激突した頂上決戦だ。
スーパーボウルは米国で最も視聴率の取れるスポーツ中継の一つである。ニールセンの発表によると、この日スーパーボウルの視聴率は41.6%、視聴者数は9990万人に達した。この中継で流れたCMが米自動車大手ゼネラル・モーターズ(GM)の「ハマーEV」である。ハマーといえば2010年に生産停止となった伝説の大型SUVだ。CMにはNBAのスーパースター、レブロン・ジェームズを起用、ハマー復活にかけるGMの意気込みが感じられる。
だが、後段で詳述するようにGMの業績は芳しくない。2019年10~12月期決算は赤字転落となり、株価も冴えない展開が続いている。果たして「ハマーEV」はGM再生の切り札になるのか? 最新動向をリポートしよう。
2019年10~12月期は赤字転落、スト響く
GMの2019年10~12月期決算は赤字転落となった。9月中旬から10月下旬の40日間に及んだストライキの影響で利益がほぼ帳消しとなった。
純損益は1億9400万ドルの赤字となり、前年同期の20億ドルの黒字から赤字に転落した。営業利益は96%減の1億0500万ドル。ストライキによる生産停止で26億ドルの損失を計上したことが響いた。売上高は20%減の308億ドルとなり、市場予想の310憶ドルに届かなかった。ただ、一時項目を除いた調整後の1株利益は0.05ドルで、アナリスト予想の0.01ドルを上回っている。
2019年12月期(通期)の純利益は16.9%減の65億8100万ドル、調整後1株利益は26.3%減の4.82ドルとなった。売上高は6.7%減の1372億3700万ドルだった。通期のストライキによる損失は36億ドルだった。
なお、GMは2020年12月期について、1株利益を5.75~6.25ドルと予想している。
世界販売台数は3年連続の前年割れに
GMの2019年10~12月期の世界販売台数は9.4%減の203万台となった。前述のストライキによる出荷の遅れが影響して北米の販売台数が7%減の85万台となったほか、中国では13.3%減の84万台に落ち込んだ。南米は4.8%減の18万台だった。また、2019年通年での世界販売は8.0%減の772万台で、3年連続の前年割れとなった。