投資信託,年利
(画像=Rawpixel.com/Shutterstock.com)

米モーニングスター社個人金融部門ディレクターであるクリスティン・ベンツ氏は、過去10年間で最悪となった株式市場の下落の中、新型肺炎コロナウイルス、株式市場の急落、投資家がなすべきことについて、同社のスーザン・ジウビンスキー氏と協議しハイライトを紹介した。

市場の大混乱の中でのアドバイス

1.市場の不安定さは新型肺炎の感染拡大の影響を上回る可能性

ベンツ氏は、新型肺炎の震源地である中国が、世界経済における力を示したとの認識を示した。「中国の運命は世界の他の国々と密接に結びついており、短期的な懸念になっている」と指摘した。ただ、株式市場の反応には、民主党大統領候補の指名争いや、議会の勢力均衡の変化など、他の要因も絡んでいるとも言う。

さらに、株式市場は過大評価されていたため、「株式評価が割安ではない時期には、新型肺炎のような外的要因に、敏感になる傾向があり、それらを振り払うことはできない。ボラティリティーは永続的なものではないが、当面の間は続くだろう」と語った。

2.起こるべくして起こった

ベンツ氏は、「非常に平穏な時期を経て、株式市場は長期間好調で、債券市場も悪くなかった。だから起こるべくして起こった」と説明した。

3.高齢の投資家にとってボラティリティーはより厳しい

市場は以前は不安定だった。違いは「あなたの資金を使う必要性」である。退職者や退職間近の人たちが最も懸念すべきであり、高齢の投資家たちは、市場の混乱を「乗り越える」ため十分な現金と債券を持っていることを推奨するという。

若い投資家はそれほど懸念すべきではない。しかし他の支出目的を持っているかもしれない。その場合、ベンツ氏は、「今後数年以内あるいは10年以内に予定している支出へのポートフォリオ部分についてはリスクを分散すべき」と勧めた。

4.利回りをあまり懸念すべきではない

現金や債券は必ずしも投資利回りが高いわけではないが、ベンツ氏は、その点に投資家は集中すべきではないと説明し、「なぜなら投資利回り・収益は、債券保有の主な理由ではないからだ。多様性や資金の維持、株式保有を減らす際に安定性を維持するために保有するからだ」と述べた。

同氏は、「期待の再調整」があるべきだと信じている。だが、残念ながら「今後10年間に債券や現金を持つ投資家にとって大きなリターンは期待できないものの、株価が変動しても安全なポートフォリオへのショック吸収材と考えるなら、債券は役割を十分果たしている」と語った。

5.配当株を点検する

株式の配当を使って支出を払う退職者は、安定性を確認すべきだとベンツ氏は指摘する。「配当株は乱高下の時期には市場全体よりも持ちこたえてきた歴史があるにもかかわらず、市場が下落している時には影響を受けるだろう。少し点検して下さい」と言う。

6.若者は不安定さを受け入れるべき

ベンツ氏は、退職間近の投資家とは異なり、若い投資家はボラティリティーを受け入れ、「市場の浮き沈みをあまり考えずに」ドル・コスト平均法を活用すべきと言う。若い投資家は、年齢相応の投資の組み合わせを行い、目標の時期を設定して、通常は株式の大量保有を選好すべきと推奨した。

Ginger Szala
Investment Advisor誌のエグゼクティブ・マネージング・エディター。フューチャーズ誌グループの編集者として、30年間、金融ビジネスとオルタナティブ業界を取材。シカゴに拠点を置く。

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