2019年最大の話題の1つと言えば、ラグビーワールドカップでの日本代表の活躍でした。個性的な選手にも注目が集まり、熱気は増す一方です。パワーの源として、プロリーグの発足に期待が集まっています。

トップリーグのプロリーグ化が進行中

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(画像=wavebreakmedia/Shutterstock.com)

日本ラグビーフットボール協会は、2019年11月に「新プロリーグ設立準備委員会」を設置しました。狙いはトップリーグのプロ化です。

2021年秋の新プロリーグの開幕を目指して、選手や監督として活躍し、ラグビー界のオピニオンリーダー的存在でもある清宮克幸副会長が委員長に就任。協会理事ら十数人を委員とし、トップリーグ16チームからも代表者が議論に加わります。

清宮氏によると、プロリーグは8チームほどでスタート、開始時期は2021年9月~22年2月ぐらいを目処としています。現在のトップリーグの中で4~6チームが興味を示し、今年、世界最高峰のリーグ、スーパーラグビーから抜けるサンウルブズも参加する見込みです。

トップリーグの課題

トップリーグは国内ラグビーの最高峰で、16の企業チームが参加。現状はプロ選手と社員の選手から構成されています。清宮氏は国内メディアの取材に、各チームは社員の活力向上や社会貢献などの目的で運営され、営利事業にはなっていないと言及。チケットの大半も企業が買い上げ、運営資金の外部獲得に向けた活動がほとんどできていないと指摘します。

また、W杯と異なり、トップリーグの試合では自社の応援に駆け付ける人の数が多い特徴があるとも発言。W杯効果で獲得した新たな層が試合会場で違和感を持つ可能性もあると懸念を示します。慢性的な赤字体質にある中、予算を確保することで、会場運営やファンサービスの向上へとつなげたいと考えています。

プロ化後のトップリーグの収益構造

日本のプロ野球の営業収益は1800億円、サッカーJリーグは1200億円超と言われます。清宮氏は国会議員のスポーツ議員連盟での会合で、新たなプロリーグを500億円規模の環太平洋リーグにしたいと訴えています。

そのためには、世界の一流プレーヤーが集まるプロリーグにして、世界中のラグビーファンが見ることで放映権収入を確保したいとの考えを示しています。日本のラグビーシーズンは約5カ月間と短く、サッカー等にくらべて比較的年俸水準が高くないため、海外トッププレーヤーの獲得可能性も十分あると言います。時差の少ないニュージーランドやオーストラリアを狙った放映権獲得の野望も覗かせます。

また、W杯期間中にはプロリーグのチームを設置したいW杯試合会場の各都市を訪問。ラグビー専用スタジアムの確保の動きも見せています。現在の平均観客動員数は1試合平均5000人ほど、これを3倍の1万5000人まで増やしたいとの構想もあります。

トップリーグプロ化に対する選手の思い

プロ化を進める中で、選手への配慮も必要となります。前述の通り、プロとアマが混在するトップリーグの選手たちにとって、プロ化は今後の人生の大きな岐路となる可能性があります。

日本ラグビーフットボール選手会の会長らは清宮氏と対談後、トップリーグについて「プロリーグという競技力に特化し、コマーシャライズされたリーグが必要不可欠な反面、社会人リーグもまた日本社会において必要不可欠」との認識を示しました。

これまで赤字続きのトップリーグを支えた企業に謝意を示す一方で、プロリーグ不参加の企業がラグビーから撤退することのないようにしたいとも発言。今回の改革がラグビーの価値を高め、ひいては企業価値の上昇につながることに期待感を示しています。

現行のトップリーグは2021年まで

今季のトップリーグは1月12日に開幕し、5月9日まで続きます。構想では次の2021年1~5月が最後のシーズンとなり、その後はプロとは別にアマチュアの社会人リーグも設けられます。

プロリーグと社会人リーグ、今後この両輪でうまく回っていくかは今後の進展にかかっています。昨年W杯で盛り上がったラグビー熱を胸に、試合会場でラグビーの面白さを改めて肌で感じてみてはいかがでしょうか。(提供:JPRIME


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