新薬の視点からみた現状と課題

日本における新薬の承認審査や相談体制は強化することは今後も勿論大切なのだが、基盤となる臨床研究は、実施体制が十分に整備されているとはまだ言えない。

論文数からみた研究レベルでも、先進国のなかでは低い水準にあり、臨床研究レベルの向上、臨床研究実施体制の強化は科学技術政策の上でも重要な課題とされている。一方で、アジア新興国は、医学界における環境整備を政策的に進めており、グローバル企業の国際共同参加を呼び込むことで、存在感を急速に高めている。

日本における新薬の承認審査は、米国よりも長い期間を要すると言われているが、これらの需要には、まだ十分対応できていないのが現状だ。背景には、欧米諸国と比べて極端に少ない審査人員だと言われているが、これも頭の痛い問題だ。


研究開発費の増加、上がらぬ利益率

製薬業界における医薬品の安全性情報の管理は、近年、規制要件が一層整備され、高度化に向けて世界的に活動が推進されている。なかでも、副作用等の報告を1件1件評価することが求められており、求められる要件が規制によって年々高度化してきている。

副作用報告における規制当局への報告件数を見ると、ここ5年間でも大幅に増加。平成23年度では26万件は報告されている。この数字にはカラクリがあり、報告件数の大半は「企業からの報告」が占めているが、「規制当局」への報告件数26万件という数字は、その前に製薬企業に報告された件数の約20%が「規制当局」に上げられている数字だと言われている。この数値を元に計算をすると、年間100万件以上の副作用等の報告が製薬企業に寄せられていることになる。平成18年度の「規制当局」への報告件数の実に2.5倍に当たることから、いかに開発費用が増加しているかが伺える。

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