ITを活用して省人化を図る「物流テック」を導入する動きが広がる。少子高齢化による人手不足や新型コロナウイルスの感染拡大による異常な消費行動を背景に、商品の受発注や在庫管理、配送をスマート化するシステムの重要性が改めて意識され、関連企業には商機が拡大する情勢だ。
EC(=Eコマース、電子商取引)市場が高成長を続ける一方で、商品を運ぶ物流業界は悲鳴を上げている。深刻なドライバー不足が慢性化する中、ITを駆使した効率化の取り組みは急務だ。倉庫内の搬送にロボットを導入したり、ICタグ(電子荷札)によってリアルタイムで貨物の動きを可視化したりする動きが広がりつつある。
ITによる商品管理は、広大な倉庫から必要なものを探す手間を省くだけではなく、無駄な在庫を持たないことで、保管コストの削減にもつながる。また、EC路線の本格化によって実店舗とネット通販の在庫を共通化する事業者も多く、電子化のニーズが膨らんでいる。また、早々に新型コロナウイルスの抑え込みに成功した台湾では、IT技術による徹底した在庫管理によってマスク不足を解消した。
実店舗とECをまたいだ在庫管理システムの開発に定評があるのがアイル(3854)だ。一体型のサービスは数少なく、差別化に成功している。特に、商品の季節性が強く入れ替わりが激しいアパレル業界でシェアを広げ、今7月期の上期は連結営業利益が前年同期比3.3倍の12億円に膨らんだ。幾つものEC店を一括して管理するソフトの売上も順調に拡大している。
食品向けでは、これまでも株式新聞でも取り上げてきたeBASE(3835)が有力だ。同社は品質管理システムのほか、商品データプールサービス「食材えびす」を展開する。食材えびすは小売業者間で在庫の情報を共有し、効率的に管理・販売するサービス。同社は日用品や医薬品にも事業領域を広げており、物流テックの流れで業績の高成長が期待される。
いずれも株価は全体相場の波乱で押し目を形成したが、将来的な期待値は揺らいでいない。、目先はまだ落ち着かない動きも想定されるが、長期の視点では絶好の買い場を迎えている。
このほか、レンタルパレットのユーピーアール(=UPR、7065・(2))は、荷物の状況を一元的に把握する「スマートパレット」を手掛ける。需要予測型の自動発注システムでシノプス(4428・M)、ECの商品管理を支援するHamee(3134)なども有力だ。(3月13日株式新聞掲載記事)
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