結果の概要:着工件数は市場予想を上回るも、許可件数は予想を下回る
3月18日、米国センサス局は2月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は159.9万件(前月改定値:162.4万件)と156.7万件から上方修正された前月値を下回った一方、市場予想の150.0万件(Bloomberg集計の中央値)は上回った(図表1、図表3)。
住宅着工許可件数(季節調整済、年率)は146.4万件(前月改定値:155.0万件)と、こちらは155.1万件から小幅に下方修正された前月、市場予想の150.0万件を下回った(図表2、図表5)。
結果の評価:2月は良好な気候もあって好調だが、3月以降は悪化へ
住宅着工件数の伸びは、前月比▲1.5%(前月:+1.4%)と5ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表3)。内訳をみると、戸建てが+6.7%(前月:▲4.9%)と前月からプラスに転じたものの、集合住宅が▲14.9%(前月:+13.8%)と大幅なマイナスに転じ、全体を押し下げた(図表4)。
前年同月比では+39.2%(前月:+25.8%)と9ヵ月連続のプラスとなった。戸建てが+35.4%(前月:+4.0%)となったほか、集合住宅も+47.6%(前月:+90.5%)と2桁の大幅な増加となった。米海洋大気庁によれば、12月から2月にかけて暖冬が続いており、2月の平均気温は過去126年間で3番目の高さとなったようだ。着工件数の12月からの好調は暖冬が影響した可能性が高い。
地域別寄与度(前月比)は、中西部が1.8%ポイント(前月:▲3.6%ポイント)、南部が+7.2%ポイント(前月:▲2.2%ポイント)と前月からプラスに転じたものの、北東部が▲5.5%ポイント(前月:+4.6%ポイント)、西部が▲5.1%ポイント(前月:+2.7%ポイント)と前月からマイナスに転じ、全体を押し下げた。
一方、先行指標である住宅着工許可件数は、前月比▲5.5%(前月:+9.2%)と前月からマイナスに転じた(図表5)。戸建てが+1.7%(前月:+6.4%)と10ヵ月連続のプラスとなった一方、集合住宅が▲18.3%(前月:+14.4%)とマイナスに転じ全体を押し下げた(図表6)。
前年同月比は+13.8%(前月:+17.8%)と8ヵ月連続のプラスとなった。集合住宅は▲2.7%(前月:+13.7%)と前月からマイナスに転じたものの、戸建てが+23.3%(前月:+20.2%)と7ヵ月連続のプラスとなった。
一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、3月が72(前月:74)と前月から▲2ポイント低下した(図表7)。これで3ヵ月連続の低下となったが、18年1月以来の高水準は維持している。
指数の内訳は販売現況が79(前月:81)、販売見込みが75(前月:79)、客足が56(前月:57)といずれも前月から低下した。
2月の住宅着工件数は、住宅ローン金利の低下に加え、暖冬の影響もあって好調を維持した。もっとも、3月は新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、住宅着工件数は減少に転じよう。
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窪谷浩(くぼたに ひろし)
ニッセイ基礎研究所 経済研究部 主任研究員
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