最先端の技術が導入されたJR東日本(9020)の新駅「高輪ゲートウェイ駅」がこのほど開業した。中でも大きな関心を集めるのがAI(人工知能)を使った決済レジや道案内用のサイネージだ。AIは新型コロナウイルス対策でも関心を集める。関連銘柄の注目度が高まりそうだ。

高輪ゲートウェイ駅
(画像=yu_arakawa/Shutterstock.com)

高輪ゲートウェイには警備や利用客の移動のアシストを担うロボットや、QRコードをかざして通過する改札、自動で最適な色調に変化する照明など先端設備が惜しみなく導入されている。訪日客向けに日本の技術力をアピールするコンパクトな「見本市」という様相もあり、中でも注目されるのがAIを駆使した無人コンビニや案内システムだ。

無人コンビニは大宮駅などでの実証実験を経て、高輪ゲートウェイに1号店がオープンした。カメラの映像と陳列棚の重量計のデータを基に、客がどの商品を購入したかをAIが判断する。サインポスト(3996)とJR東日本が共同で開発し、想定を大幅に上回る利用者が出ている。

道案内システムはAIの技術に、利用者が親しみやすいようにバーチャルキャラクターを組み合わせた。キャラクターとの対話形式で分かりやすく情報を伝える。ティファナ・ドットコム社(東京都目黒区)が手掛けたこのシステムは、300社以上に導入されている。

東京五輪の延期により、高輪ゲートウェイの明敏な機能を世界に知らしめる機会は先送りされた。しかし一方で、新型コロナウイルスの対策に関してもAIが存在感を示す。画像による病状の診断が最初の感染地の中国で普及し、治療に大きく貢献した。人との接触による感染リスクを抑えるために使われるロボットやドローン(小型無人飛行機)でも、AIは重要な役割を担う。

富士ソフト(9749)は、自律型コミュニケーションロボ「パルロ」の開発を通じてAI研究に注力してきた。パルロは全国1200カ所以上(昨年6月末時点)の高齢者福祉施設に導入されているほか、金融機関の店頭でも活躍。AI活用のフィールドは今後、本業のシステム分野や、自動運転用途などで車載機器向けにも広がりそうだ。

完全自動運転車の実用化を目指すトヨタ自動車(7203)も、AIを強化中だ。2018年にはアイシン精機(7259)、デンソー(6902)とともに関連ソフトを開発する新会社を立ち上げた。また、トヨタはNTT(9432)と組み、最先端の街づくり「スマートシティ」の設立を推し進めるが、ここでもAIは要の技術となる。

AIによるデータ分析を手掛けるALBERT(3906・M)は、トヨタと資本・業務提携の関係にある。直近ではドライブレコーダーで取得した映像から、AIが事故状況を再現し、自動車事故における責任の割合を算出する新技術を打ち出した。

また、AIを使った画像診断では、医療ビッグデータのJMDC(4483・M)が浮上する。子会社のドクターネットは、中国AI開発会社と組み、新型コロナの画像診断にも取り組んでいる。(3月27日株式新聞掲載記事)

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