春の気配を感じられるようになってきました。暖かくなったと喜んでばかりいられないのが花粉症の方々でしょう。日本人のほぼ2人に1人が花粉症に悩まされていると言われており、くしゃみ、鼻水、目のかゆみなど、数ヶ月にわたって不快な症状に悩まされています。日本に住んでいる限り、これはもう逃げ場がありません。抗アレルギー薬による対処療法で緩和させたり、「ヨーグルトが効くらしい」と聞いて食べてみたりと、涙ぐましい努力で花粉の季節をやり過ごしている方もいることでしょう。

そんな重度の花粉症をはじめとするアレルギー持ちの方に朗報です。対処療法ではなく、根本的にアレルギー体質を改善する「舌下免疫療法」を試してみてはいかがでしょうか。気になるその具体的な方法と費用、療養にかかる期間などをご紹介します。

なぜアレルギーは起きるのか?

花粉症,舌下免疫療法
(画像=Horth Rasur/Shutterstock.com)

そもそもアレルギーとは、なんなのでしょうか。人間の体には、体内に侵入したウイルスや病原菌などを異物と見なし、それに対応する抗体を作って撃退する仕組みが備わっています。この仕組みが「免疫」と呼ばれるものです。この免疫により、人間の体は守られています。ところが、この免疫が花粉などの本来は体に害がないものに対しても過剰に反応してしまうことがあります。これがいわゆる「アレルギー」です。

舌下免疫療法とは、「アレルゲン免疫療法」のひとつ。アレルギーの原因物質(アレルゲン)を、まずは少量ずつ投与し、徐々に増やしていくことで体をアレルゲンに慣らし、症状を和らげる治療法です。減感作療法とも呼ばれ、20世紀初頭には既に行われていました。正しく治療が行われれば、根治や、長期にわたり症状を抑えることが期待できます。また、症状が完全に収まらなくとも、症状をやわらげてくれる場合もあります。

舌下免疫療法のメリット

アレルゲン免疫療法には、「皮下免疫療法」と呼ばれるものもあります。2014年より前には、日本ではまだ舌下免疫療法は認可されていなかったため、アレルゲン免疫療法で適用できるのは皮下免疫療法のみでした。こちらは注射での投与になるため、当然お医者さんにかからなければならず、通院する必要があります。なるべく痛みを感じないよう細めの針を使用しますが、大人になっても注射というのは嫌なものです。

一方、舌下免疫療法の場合、舌の裏に薬を垂らして投与するため、数週間に一度処方してもらえば、自分で行うことができます。また、皮下免疫療法では、ごくごくまれ(注射回数千回に1回程度の確率)に全身反応(ぜんそく発作、じんましんなど)が起こることがありますが、舌下免疫療法ではその確率がさらに下がります。以前は12歳以上にしか行うことができませんでしたが、2018年から11歳以下にも投与できるようになりました。子どもとなればなおさら、注射よりも投薬のほうが気持ち的にラクでしょう。

治療には長期間かかる

とはいえ、舌下免疫療法はメリットばかりというわけでもありません。治療には長期間(3〜5年)かかります。皮下免疫療法はその間毎日欠かさず服用するので、思ったよりも負担があります。皮下免疫療法では、最初のころこそ頻繁に通院する必要がありますが、徐々に減っていき、最終的には月に1回のペースとなります。生活スタイルに合わせ、都合のよいほうを選ぶとよいでしょう。

ただ、残念なことに、スギ花粉症の場合は、花粉が飛んでいる時期は治療を開始できません。スギ花粉症のアレルゲンはスギ花粉であるため、飛散している時期はアレルゲンに対する体の反応が過敏になってしまうのです。さらに、治療の効果が現れるのには数ヵ月かかります。喉元過ぎればなんとやら、ではなく、次の花粉シーズンに向けて、今のうちから早め早めに検討を始めましょう。(提供:JPRIME


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