(本記事は、山口謠司氏の著書『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

一文一要素が原則

5W1H
(画像=beeboys/Shutterstock.com)

文章が長くなる原因に、一文の中にいくつかの要素を入れてしまう、ということがあります。

ひとつの文章の中に、多くの情報が入っていると、相手は内容を理解できなくなってしまいます。

商品とは、いくつかの要素で成り立っています。商品内容を説明するときに、いくつかの違う要素を一気にお客さんに提示すると、魅力を感じてもらうことはできません。

たとえば、あなたが開発しようとしているパソコンAには、さまざまな魅力があります。

「大容量」「動作が速い」「動画編集能力が搭載されている」「画質がいい」など、お客さんは購入することで多くのメリットを享受できます。

●記憶を消し去る文章とは?

しかし、企画の決裁者に商品説明をするとき、

「このパソコンは、容量が他のノートパソコンより平均して大きく、使用動作も速く、動画編集機能も搭載され、高画質で動画を見ることができる。」

という説明をしたところで、相手は何が言いたいのか理解することができません。情報を一気にまとめて文章化されても、どんなパソコンなのかよくわからないのです。

容量の話をするなら、まずはそのことのみを説明するべきです。

「このパソコンの容量は、他のノートパソコンに比べて1.2倍ある。」

というように、容量の大きさを伝えてから、そのサイズはどんなものか、それにどんなメリットがあるのか、を説明していくべきです。

その説明が終わってから、動作の話をする。

こうしたほうが、相手は商品の説明文を理解することができます。

いくつもの要素がちりばめられていると、相手は文章を読んでいる間にパソコンの情報をどんどん忘れていってしまいます。それどころか情報がひとつも頭に入らない可能性もあります。

ひとつの要素しか入れずに、ひとつの文章を書く。

これを意識することで、文章は短くなるのです。そして、それがわかりやすさにもつながります。

5W1Hは基本中の基本

人は誰もがそれぞれの価値観を持ち、考え方が違います。あなたと感覚が全く同じという人はいないものです。

仕事では、そういった自分以外の人に、文章であなたの思考を伝えることになります。

また、文章をどう書けばいいのか迷ってしまう、という場合に使える文章の型があります。

5W1Hで文章を書く、ということです。

この型に沿って文章を書けば、相手にあなたの考えを伝えやすくなります。

●なぜか、英語では習うのに、日本語では習わない

5W1Hとは、

・When いつ
・Where どこで
・Who 誰が
・What 何を
・Why なぜ
・How どのように

のことです。

5W1Hを意識して文章をつくると、伝える情報が明確になると言われています。

なぜか私たちは、この基本を組み立てて文章をつくることの大切さを、学校でしっかり習いません。

英語の授業では、SVCなど文章の仕組みを教わるのに、国語の授業では文章の組み立ての訓練がなされないのです。

「『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』は(What)、2020年に(When)、山口謠司が(Who)自宅で(where)書いた」

このように、5W1Hの要素を使うと、文章はつくりやすくなります。簡単に、状況や内容を伝えることができるのです。

文章が長くなってしまったり、書き始められないときには、5W1Hを意識してみましょう。

言葉を減らせば文章は分かりやすくなる
山口謠司(やまぐち・ようじ)
大東文化大学文学部准教授。博士。1963年長崎県佐世保市生まれ。大東文化大学大学院、フランス国立高等研究院大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員を経て現職。専門は、書誌学、音韻学、文献学。1989年よりイギリス、ケンブリッジ大学東洋学部を本部に置いて行なった『欧州所在日本古典籍総目録』編纂の調査のために渡英。以後、10年に及んで、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギー、イタリア、フランスの各国図書館に所蔵される日本の古典籍の調査を行なう。またその間、フランス国立社会科学高等研究院大学院博士課程に在学し、中国唐代漢字音韻の研究を行ない、敦煌出土の文献をパリ国立国会図書館で調査する。

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