(本記事は、山口謠司氏の著書『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

無意味な「接続詞」をつけていないか?

余計
(画像=Artur Szczybylo/Shutterstock.com)

接続詞もカットしやすい言葉です。文章と文章につながりをつくるものですが、必要のない所につけていることは多いものです。

また、接続詞の多用は文章をわかりにくくする場合もあるので要注意です。

接続詞には、いくつかの種類があります。

・順接「だから」「そこで」「よって」

・逆接「しかし」「でも」

・並列「また」「同じく」

・添加「そして」「さらに」「しかも」

・対比「一方」「逆に」

・選択「または」「それとも」

・説明「なぜなら」

など、これらは削ってしまっても問題ないことがよくあります。

●逆接は特に減らすこと!

この文章は、不必要な接続詞が多用されています。

「ある日、ある男の目の前でウサギが木の根につまずいて転がります。そこで、男はしめたとウサギを捕まえて食べました。そして、翌日から男は畑を耕すのをやめて、ウサギが木につまずくのをひたすら待ち続けました。けれども、ウサギは一匹もやって来ず、男は待ちぼうけすることになりました。」

「ある日、ある男の目の前でウサギが木の根につまずいて転がります。男はしめたとウサギを捕まえて食べました。翌日から男は畑を耕すのをやめて、ウサギが木につまずくのをひたすら待ち続けました。ウサギは一匹もやって来ず、男は待ちぼうけすることになりました。」

「けれども」は、残してもいいかもしれませんが、なくても意味は通じます。

これほど、接続詞はカットできるのです。

また、逆接の接続詞を多用すると、読み手は文章を理解しづらくなります。

逆接とは、予想される結果が表れないときに使われます。条件と結果との間に食い違いが生まれたときに使われるのです。

何度も予想を覆されていけば、文章の意味がわからなくなってもおかしくありません。接続詞は、前後の文節や文をつなげてくれる役割もしますが、必要のないことも多いのです。文章を削るときの勘所としてください。

接続助詞「が」はダラダラ文の大原因

「〇〇から」

「〇〇ので」

「〇〇のに」

「〇〇けれど」

「〇〇が」

「〇〇と」

などの接続助詞も多用してしまいがちです。

接続助詞は用言や「れる」「られる」などの助動詞につき、前後の語句をつなげる役割があります。

これを使いすぎてはいけません。ダラダラと文章がつながっていく原因に なるので、注意が必要です。

次の文章は、接続助詞が多用されています。

「私の専門は文献学だが、資料が必要なことが多いので、日本の古典籍の調査をすることがあるけれど、貴重な体験だ。」

「私の専門は文献学だ。資料が必要なことが多い。日本の古典籍の調査をすることもある。貴重な体験だ。」

一文を短くするのなら、ここまで削ることができます。

●「が」は特に注意!

特に「が」を使用すると、文章がダラダラと続いていきます。なるべく使わないようにしましょう。

多くの場合、「が」は削り、句点で文章を締めてしまってもいいのです。

「私は書誌学者だが、膨大な資料を必要とする。さまざまな場所へ見学に移動するが、いろんな土地に行ける楽しみもある。」

「私は書誌学者だ。膨大な資料を必要とする。さまざまな場所へ見学に移動 する。いろんな土地に行ける楽しみもある。」

このように、「が」の部分で文章を切るとスッキリするので、おすすめの方法です。

言葉を減らせば文章は分かりやすくなる
山口謠司(やまぐち・ようじ)
大東文化大学文学部准教授。博士。1963年長崎県佐世保市生まれ。大東文化大学大学院、フランス国立高等研究院大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員を経て現職。専門は、書誌学、音韻学、文献学。1989年よりイギリス、ケンブリッジ大学東洋学部を本部に置いて行なった『欧州所在日本古典籍総目録』編纂の調査のために渡英。以後、10年に及んで、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギー、イタリア、フランスの各国図書館に所蔵される日本の古典籍の調査を行なう。またその間、フランス国立社会科学高等研究院大学院博士課程に在学し、中国唐代漢字音韻の研究を行ない、敦煌出土の文献をパリ国立国会図書館で調査する。

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