(本記事は、山口謠司氏の著書『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

要約力があれば文章を再構築できる

鍛える
(画像=Casimiro PT/Shutterstock.com)

文章を短くする力を高めるために最適なのが、要約力を鍛えることです。

要約とは、文章や話の要点を短くまとめることです。

不必要な情報を削除する、大事なことを見極めて文章を書くために、要約力は必要です。

自分で書いた文章を読み直して要点を確認すると、再構成して短くすることも可能です。

要約力を鍛えるトレーニングをすると、文章を正しく読み取り、長い文章を短くまとめることができるようになるのです。

同時に、論理力や読解力まで身につきます。

相手にあなたの考えを理解してもらうには、要約しながら書くことは必要不可欠です。

うまく要約できていない場合、要点を得ない文章が出来上がり、伝わりづらくなります。

●他者の時間を奪わないために

ビジネスでは、書類、メールやSNSなど、文章を介したコミュニケーションが多く、短くわかりやすく伝えることが求められます。

コミュニケーション時間を短縮し、相手の時間を尊重するためにも要約力は必要なのです。説明、提案、相談するときに、長い文章で伝えると、読む時間も、理解してもらう時間もかかってしまいます。

「要は、こう言いたいのです」

というメッセージを相手に感じ取ってもらうコミュニケーションをすることは、社会人としてのマナーです。

要約力があれば、文章だけではなく、会話の質も良くなります。

本の1章を40文字にまとめる

本の内容をまとめてみることで、要約力は身につきます。読みっぱなしにせず、内容を自分なりに整理してみてください。

では、どういう読書をすればいいのでしょうか。

私が要約力をつけるためにやっていたのが、1章を40文字にまとめることです。

本は、6章ほどの構成が多いので、1冊の内容を240文字で表現することになります。

このトレーニングを繰り返すと確実に要約力は、メキメキとついていきます。

いきなり40文字にするのは難しいかもしれません。

まずは、80文字を目指してみてください。

本の内容を要約するには、2つのポイントがあります。

●2つのポイントを知り「30ページ→40文字へ」

この章には、

「何が書いてあったのか?」

「どんな問題提起がなされ、著者はどのような方法で解決したのか?」

ということを、書いてみるのです。このポイントを押さえると、要約は楽になります。

コツは、2ページに1個、重要だと感じた文章に線を引くことです。その部分には、キーワードがある可能性が高い。

1章を読み終わったら、線を引いた文章だけを読み返してみてください。すると、要約文をつくりやすくなります。

1章は30ページほどなので、15の文章です。

「30ページ →15行 →40文字」

という具合に、文章を圧縮していってください。これが難しいと感じた人は、とりあえず要約のことは忘れて、一度その章の感想を書いてみましょう。

人は感想を書くことで、読んだ内容を思い出そうとします。

「なぜ、そう感じたのか。それは……」と、頭の中で、もう一度その章の記憶を引っ張り出してくるのです。

そのとき思い出したことは、強烈な印象があったということです。その章の中で重要である可能性が高いので、それをそのまま書いてください。要約文に近いものが出来上がります。

言葉を減らせば文章は分かりやすくなる
山口謠司(やまぐち・ようじ)
大東文化大学文学部准教授。博士。1963年長崎県佐世保市生まれ。大東文化大学大学院、フランス国立高等研究院大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員を経て現職。専門は、書誌学、音韻学、文献学。1989年よりイギリス、ケンブリッジ大学東洋学部を本部に置いて行なった『欧州所在日本古典籍総目録』編纂の調査のために渡英。以後、10年に及んで、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギー、イタリア、フランスの各国図書館に所蔵される日本の古典籍の調査を行なう。またその間、フランス国立社会科学高等研究院大学院博士課程に在学し、中国唐代漢字音韻の研究を行ない、敦煌出土の文献をパリ国立国会図書館で調査する。

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