(本記事は、山口謠司氏の著書『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)
「方」「かどうか」「ような」は削りやすい
気づかないうちに不要な言葉を入れてしまうことがあります。
その原因は、より情報を詳しく伝えたい。断定してもいいのか迷っている。会話のときに使っている言葉のクセが出てしまう。
こういったことがあります。
無意識に行なっていることなのでなかなか気づけませんが、確実に必要がない言葉が存在します。
その場合は、文章の中の要点に注目し、それを伝えるために「この言葉は本当に必要なのか?」と考えてみることです。
その代表的なものに、
「〇〇の方」
「〇〇かどうか」
「〇〇のような」
があります。
「企画書の方はご確認いただけましたか。」 ↓ 「企画書はご確認いただけましたか。」
「販売促進で広告を出すかどうか悩んでいます。」 ↓ 「販売促進で広告を出すか悩んでいます。」
「成果を阻害するような要因には、目をそむけたくなります。」 ↓ 「成果を阻害する要因には、目をそむけたくなります。」
多くの場合、このように削っても全く問題ありません。
●言わなくていいことは言わない!
一度、文章を書き、読み直すと案外余計な言葉を使っていることはあるものです。
要点がわかりにくくなるような余計な情報も、省略してしまってください。たとえば次のような文章は修正できます。
「駅から右に曲がると、突き当たりに緑の屋根のお菓子屋さんが見えてきます。」 ↓ 「駅から右に曲がると、突き当たりにお菓子屋さんが見えてきます。」
よっぽどわかりにくいお店の場合は別ですが、お菓子屋さんと言っているので、屋根の情報まで入れる必要はありません。短くできるのなら思い切ってカットしていきましょう。
このように、読み返せばなくても意味が通じる言葉があるものです。
意味の重複には2パターンがある
文章の中でカットしてもかまわないのが、重複表現です。
たとえば、「まだ未定です」「隔週おきに」「まず最初に」といった、同じ意味の言葉を重ねてしまう表現はやめましょう。
「まだ未定」→「未定」
「隔週おき」→「隔週」
「まず最初」→「最初」
こういった重複表現を避けるためにも、やはり言葉の意味をしっかりと理解しておくことです。
「未定」とは、未だ定まらず、まだ決まっていないということです。隔週とは1週間おきのことです。最初は、一番はじめという意味です。
「受注を受ける」「後で後悔する」なども、同じ意味の言葉を重ねてしまっています。「受注する」「後悔する」としましょう。
また、「よくよく考えてみます」といったような表現は、感情を込めることができます。
しかし、文章を短くしたいときは、「考えておきます」で十分です。
「ちょこちょこしている」「ザーザー雨が降る」といった同じ言葉を続けて書くと、子供っぽい印象を相手に与えてしまいます。相手に「情報を伝えるとき」には重複表現を避け、スッキリした文章をつくりましょう。
●一文に同じ意味の言葉がある
「まだ未定」というような連続した重複表現のほかに、一文の中に同じ意味の言葉が入っている場合もあります。
次のようなものがありますが、短くしましょう。
「重複表現をしてしまう理由には、言葉の意味を知らないという理由がある。」 ↓ 「重複表現をしてしまう理由は、言葉の意味を知らないからだ。」
「私がほっとしたのは、納期が間に合って安心したからです。」 ↓ 「私は、納期が間に合って安心しました。」
「お客様がおっしゃるには、商品が汚れていたとおっしゃいました。」 ↓ 「お客様は、商品が汚れていたとおっしゃいました。」
このような表現はやってしまいがちですが、文章を長くしてしまいます。
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