(本記事は、山口謠司氏の著書『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』ワニブックスの中から一部を抜粋・編集しています)

「方」「かどうか」「ような」は削りやすい

言葉
(画像=Casimiro PT/Shutterstock.com)

気づかないうちに不要な言葉を入れてしまうことがあります。

その原因は、より情報を詳しく伝えたい。断定してもいいのか迷っている。会話のときに使っている言葉のクセが出てしまう。

こういったことがあります。

無意識に行なっていることなのでなかなか気づけませんが、確実に必要がない言葉が存在します。

その場合は、文章の中の要点に注目し、それを伝えるために「この言葉は本当に必要なのか?」と考えてみることです。

その代表的なものに、

「〇〇の方」

「〇〇かどうか」

「〇〇のような」

があります。

「企画書の方はご確認いただけましたか。」

「企画書はご確認いただけましたか。」

「販売促進で広告を出すかどうか悩んでいます。」

「販売促進で広告を出すか悩んでいます。」

「成果を阻害するような要因には、目をそむけたくなります。」

「成果を阻害する要因には、目をそむけたくなります。」

多くの場合、このように削っても全く問題ありません。

●言わなくていいことは言わない!

一度、文章を書き、読み直すと案外余計な言葉を使っていることはあるものです。

要点がわかりにくくなるような余計な情報も、省略してしまってください。たとえば次のような文章は修正できます。

「駅から右に曲がると、突き当たりに緑の屋根のお菓子屋さんが見えてきます。」

「駅から右に曲がると、突き当たりにお菓子屋さんが見えてきます。」

よっぽどわかりにくいお店の場合は別ですが、お菓子屋さんと言っているので、屋根の情報まで入れる必要はありません。短くできるのなら思い切ってカットしていきましょう。

このように、読み返せばなくても意味が通じる言葉があるものです。

意味の重複には2パターンがある

文章の中でカットしてもかまわないのが、重複表現です。

たとえば、「まだ未定です」「隔週おきに」「まず最初に」といった、同じ意味の言葉を重ねてしまう表現はやめましょう。

「まだ未定」→「未定」

「隔週おき」→「隔週」

「まず最初」→「最初」

こういった重複表現を避けるためにも、やはり言葉の意味をしっかりと理解しておくことです。

「未定」とは、未だ定まらず、まだ決まっていないということです。隔週とは1週間おきのことです。最初は、一番はじめという意味です。

「受注を受ける」「後で後悔する」なども、同じ意味の言葉を重ねてしまっています。「受注する」「後悔する」としましょう。

また、「よくよく考えてみます」といったような表現は、感情を込めることができます。

しかし、文章を短くしたいときは、「考えておきます」で十分です。

「ちょこちょこしている」「ザーザー雨が降る」といった同じ言葉を続けて書くと、子供っぽい印象を相手に与えてしまいます。相手に「情報を伝えるとき」には重複表現を避け、スッキリした文章をつくりましょう。

●一文に同じ意味の言葉がある

「まだ未定」というような連続した重複表現のほかに、一文の中に同じ意味の言葉が入っている場合もあります。

次のようなものがありますが、短くしましょう。

「重複表現をしてしまう理由には、言葉の意味を知らないという理由がある。」

「重複表現をしてしまう理由は、言葉の意味を知らないからだ。」

「私がほっとしたのは、納期が間に合って安心したからです。」

「私は、納期が間に合って安心しました。」

「お客様がおっしゃるには、商品が汚れていたとおっしゃいました。」

「お客様は、商品が汚れていたとおっしゃいました。」

このような表現はやってしまいがちですが、文章を長くしてしまいます。

言葉を減らせば文章は分かりやすくなる
山口謠司(やまぐち・ようじ)
大東文化大学文学部准教授。博士。1963年長崎県佐世保市生まれ。大東文化大学大学院、フランス国立高等研究院大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学東洋学部共同研究員を経て現職。専門は、書誌学、音韻学、文献学。1989年よりイギリス、ケンブリッジ大学東洋学部を本部に置いて行なった『欧州所在日本古典籍総目録』編纂の調査のために渡英。以後、10年に及んで、スウェーデン、デンマーク、ドイツ、ベルギー、イタリア、フランスの各国図書館に所蔵される日本の古典籍の調査を行なう。またその間、フランス国立社会科学高等研究院大学院博士課程に在学し、中国唐代漢字音韻の研究を行ない、敦煌出土の文献をパリ国立国会図書館で調査する。

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