少子高齢化の進展に伴い、銀行各社はビジネスモデルの転換を迫られています。これまでのようなサービスを継続しているだけでは、生き残ることができません。銀行を含む金融のあり方そのものが、過渡期を迎えていると言えるでしょう。

そんな中、高齢社会に対応できる金融サービスの提供が注目を浴びています。これまで以上に、高齢者が安心して資産管理・運用を任せられる金融機関・金融サービスが求められており、今「信託銀行」が見直されているのです。

変わりゆく銀行の役割

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(画像=tete_escape/Shutterstock.com)

銀行の役割は、大きく分けて2つあります。1つは、一般顧客からお金を預かることです。それには給料の振り込みや公共料金の支払いといった各種サービスも含まれており、日常生活に関連するお金のやり取りの利便性を高めることによって、銀行は多くの顧客から預金を獲得しています。もう1つは融資です。銀行は顧客から預かったお金を企業に貸し出し、利息を得ながら経済を回すという社会的な役割を担っています。

このような銀行の基本的な役割に加えて、今後は高齢社会に即したサービスの拡充が求められます。個人の長寿化と資産の高齢化によって発生するリスクに対処しつつ、安全な資産管理を提供する必要があるでしょう。金融庁の資料によると、高齢社会には以下のようなリスクがあるとされています。

  • 資産寿命が生命寿命に届かないリスク
  • 老後不安による過度な節約
  • 地方から都市部への資産流出の加速
  • 家計の資産構成の硬直化

高齢化でニーズが増す信託銀行

これらのリスクを踏まえ、個人・社会の双方にとって望ましい金融サービスの提供を期待されているのが「信託銀行」です。信託銀行は、どのような機能を持つ金融機関なのでしょうか。

信託銀行とは

信託銀行は、一般的な銀行が行っている「銀行業務(預金・貸付)」に加え、「信託業務」と「併営業務」も行っている金融機関です。信託業務とは、個人や法人が持つ財産を受託者に移転させ、管理・運営すること。併営業務とは、遺言の保管および執行を含む相続関連業務や、株主名簿管理などの証券代行業務、さらには不動産売買の仲介業務などを併営することです。

業務範囲は各信託銀行で異なるものの、一般的な銀行よりも幅広い業務を行っていることが信託銀行の特徴です。

信託銀行の存在意義

高齢社会に対応するという意味で、信託銀行の存在意義は大きいです。一般的な銀行では行っていない信託業務や併営業務などのサービスでは、高齢化による体力や判断力の低下、さらには認知症にも対応した金融商品も提供しています。

解約制限や代理出金などができる金融商品を提供する信託銀行もあり、これらの商品・サービスは既存の課題解決にも役立ちます。

“資産を守る”存在として

最近では、家族とともに資産状況を把握したり、情報を共有したりするサービスも提供されています。老年学(ジェロントロジー)を踏まえた“資産を守る”ための金融商品・サービスの開発は、今後加速していくでしょう。相続にも精通している信託銀行ならではの商品開発は、深刻化する高齢化社会の切り札になるかもしれません。

信託銀行の活用を検討しよう

老後の資産管理は、「継続的な資産形成」「老後資金の見える化」「退職金・年金の活用」など、広い視野をもって行う必要があります。高齢社会が深刻化している今、誰もが当事者になり得ます。実情を踏まえた上で、早い段階で信託銀行の活用を検討したいものです。(提供:Dear Reicious Online


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