『感情を動かす技術』の著者であり、プレゼンテーションディレクターである中西健太郎氏へのインタビュー前編では、現在までの経緯やベンチャー企業の危機を救った実例などを伺った。
後編では、経営者がよりレベルアップするために必要な要素や新型コロナウイルス感染拡大に伴って増えつつあるリモートワークで失敗しないためのコツなどを伺った。(聞き手・くすいともこ、撮影・森口新太郎)
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※本インタビューは4月中旬、オンラインにて行われました
経営者が欲しがる4つの要素
――顧客層における経営者の割合はどのぐらいですか?
パーソナルな意味でのマンツーマンや研修だと9割が経営者ですね。一部上場企業からファンドを運営している方まで、企業の規模はまちまちです。中には、議員さんもいらっしゃいますよ。
――皆さん、いろいろなお悩みがあるかと思うのですが、特に目立つお悩みはありますか?
企業はある程度のところまでは社長の勢いや、初期メンバーが無茶をすることでも成長します。でも、あるレベルに達すると、それだけじゃ成長できなくなるんです。
そのときに、経営者が欲しがるものが4つあります。カリスマ性、スター性、プレゼン力、圧倒的な個性です。
カリスマ性やスター性については、孫正義さんや三木谷浩史さんのような方をイメージしてもらえば分かりやすいですね。世の中に知ってもらったり、自分の力で動かしたりしたいという欲求です。
プレゼン力ですが、会社が大きくなるにつれて社長の仕事は経営にシフトします。そうなると会食が増えたり、投資家に会ったりする機会が増えてきます。会社のレベルが上がると相手のレベルも上がります。どんどん相手のレベルが高くなることで、今までやってきたコミュニケーションが通用しないという壁にぶつかります。
中でも、「1対大勢」の場面が増えてきます。講演に呼ばれるようになったり、新製品発表会があったり。日本の教育ではほとんど訓練してこないので、「1対大勢」というコミュニケーションが苦手、という悩みが多いです。
個性の作り方を間違えないためにすること
――なるほど。分かる気がします。4つ目の「圧倒的な個性」というのは?
あるレベルまで達すると、有名な経営者と会う機会が増えてきます。成長している企業の経営者にはものすごい個性がある。そういった人の中に入ると、自分の個性が埋没しているように感じてしまうようなのです。
ここで、失敗してしまいがちなのが、キャラが立っていないから個性出さないといけない、と思ってしまうこと。「◯◯さんみたいになりたい」と思って、個性を間違えて取り入れてしまうケースがよくあるんです。