本社から離れた場所にサテライトオフィスを設置する企業が増えている。

今回は、サテライトオフィスを設置するメリットとデメリットを、従業員と企業、それぞれの視点から解説する。デメリットを解決する方法も紹介するので、サテライトオフィスを検討する際の参考にしてほしい。

サテライトオフィスとは?

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(画像=Indypendenz/Shutterstock.com)

サテライトオフィスとは、企業や官公庁が、本社や本部とは離れた場所に設置した小規模なオフィスのことをいう。サテライトとは、英語で「衛星」という意味だ。衛星は惑星のまわりを公転する天体を指す。そのため、本社を惑星に見立て、離れた地に点在するオフィスをサテライトオフィスと呼ぶようになった。

賃料の安い郊外や地方に本社を置き、利便性に優れた都心部にサテライトオフィスを設置するパターンが想定される。また、都心部に本社を構えたうえで、顧客の事業所の近くに複数のサテライトオフィスを設置するパターンもある。都心部に本社を構え、地方にサテライトオフィスを設けることもあるだろう。

サテライトオフィスの開設が増えている背景

総務省の「サテライトオフィスの開設状況について(地方公共団体調査・2019年)」によると、地方公共団体が関与し、開設されたサテライトオフィスの件数は以下のとおりだ。

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2013年から2018年まで、サテライトオフィスが増加し続けていることがわかる。開設数は、5年間で約5.3倍にまでふくれ上がっている。

これはあくまで地方公共団体が関与した事例のみピックアップした数字なので、実際にはもっと多くの企業がサテライトオフィスを開設していると考えられる。

サテライトオフィスの種類や運営方法

サテライトオフィスの種類や運営方法について、引き続き総務省の調査をもとに解説する。

オフィスの形態は、シェアオフィスが35%、独自事務所が64%という結果で、サテライトオフィスといっても、必ずしも自社で事務所を新たに借りなければいけないわけではない。

最近では、賃料の安さやサービスの品質の高さといったメリットに惹かれ、シェアオフィスを選択する企業も増えている。賃料の高い都心部では、特にその傾向が顕著と言えるだろう。シェアオフィスなら、期間を定め、お試しとしてサテライトオフィスの運用を始めることもできる。

入居形態は、常駐の人間を配置せず、短期的に利用する「循環型」が27%、常勤の人間を配置して利用する「常駐型」が71%だった。

循環型オフィスでは、滞在時間は「月1~2週間程度」が52%、「月数日程度」が38%と、二分される形になった。常駐型オフィスを見ると、常駐する従業員の人数は「1~5人」が70%と最も多く、続いて「6~10人」が14%、「11人以上」が10%となった。

利用頻度が少ない場合は循環型オフィスとなり、毎日出社する従業員がいる場合は常駐型オフィスになっていることが分かる。

サテライトオフィスのメリット

続いて、サテライトオフィスのメリットを従業員と企業、それぞれの視点から紹介する。

従業員から見たサテライトオフィスのメリット

サテライトオフィスが自宅に近い場合、通勤時間の短縮、満員電車に乗るストレスがなくなるといったメリットが考えられる。職住近接の環境を確保できることは、従業員の暮らしの満足度を向上させることにつながるだろう。

また、サテライトオフィスが顧客の事業所に近ければ、迅速な対応や移動時間の短縮といったメリットが生まれる。移動にともなう時間のロスがなくなれば、移動の負担も軽減されるだろう。

シェアオフィスを利用する場合には、最新設備が導入されていたり、リラックスできる共用スペースがあったりするなど、働く環境そのものが改善される場合も想定される。スタイリッシュなオフィスで働くことで、仕事に対するモチベーションも自然と高まるだろう。

企業から見たサテライトオフィスのメリット

サテライトオフィスの設置によって、従業員の仕事に対する総合的な満足度が上がれば、生産性の向上が期待できる。また、従業員の離職率が下がり、採用コストが削減できる効果も想定されるだろう。

最近では、給料以外の働き方ややりがいを求めて企業を選ぶ動きもみられる。特に優秀で成長意欲旺盛な人間ほど、その傾向が強い。新しい時代の働き方を叶えるためサテライトオフィスを設置していることは、企業として大きなアピールポイントになるだろう。

サテライトオフィスは、有事の際のリスク分散としても大きな意味を持つ。本社だけでなくサテライトオフィスに機能を分散しておくことで、いざというときもサテライトオフィスが稼働し、顧客への連絡など最低限の対応ができるだろう。

サテライトオフィスというと、従業員の満足度がクローズアップされがちだが、実は企業にも多くのメリットがある。

サテライトオフィスのデメリット

同様に、サテライトオフィスのデメリットを従業員と企業、それぞれ視点から紹介する。

従業員から見たサテライトオフィスのデメリット

サテライトオフィスをうまく運用できないと、かえって従業員の満足度を下げてしまう可能性がある。例えば、サテライトオフィスが駅から遠くアクセスしにくい場所にあったり、オフィスが古く狭かったりする場合だ。

通勤時間や移動時間を短縮できたとしても、「ここで働きたい」と思えるような魅力的なオフィスでなければ、従業員にとっては満足度向上につながらない可能性も出てくる。

シェアオフィスを活用する場合も、他の利用者と共有の大部屋しかなかったり、空調の効きが悪かったりすれば、能率が下がってしまうかもしれない。

このほかにも、運営方法によっては、コミュニケーションが不足し情報共有がしにくくなるデメリットも想定される。

企業から見たサテライトオフィスのデメリット

企業にとってのデメリットは、初期コストがかかることだ。オフィスを設置するとなると、敷金礼金はもちろんのこと、複合機やシュレッダーの購入、内装工事、受付スタッフの採用などの初期コストが発生する。

サテライトオフィス運営のノウハウがない中で、準備を進めるのは経営者や管理者にとっても大きなストレスになるだろう。そもそも、ノウハウがないがためにサテライトオフィスの設置に踏み切れない経営者も少なくない。

この傾向は、特にスタートアップ企業や中小企業の間で顕著だと考えられる。

サービスオフィスとは

サテライトオフィスのデメリットを解決する方法として、最近登場したのが「サービスオフィス」という選択肢だ。

サービスオフィスは、広い意味ではシェアオフィスに含まれる。ただ、従来のシェアオフィスはセキュリティに問題があったり、利用できるサービスが限られていたり、広々とした共用スペースしかなかったりと、企業にとっても働く人にとっても、使いにくい面があった。

こういった問題点を解決する新たなシェアオフィスとして登場したのが、サービスオフィスだ。多くのスタートアップ企業や中小企業が、サービスオフィスを利用することでサテライトオフィスの設置に成功している。

代表的なサービスオフィスとして、今回はH¹O(エイチワンオー)を紹介する。

H¹Oは、中央区・新宿区・渋谷区・港区・千代田区の駅近にあるサービスオフィスだ。H¹Oには、会議室や応接スペース、リフレッシュスペースなどがあり、利用者は必要に応じてスペースを利用できる。事務所を借りた場合、会議室や応接スペースを普段ほとんど利用しなくても、その分の賃料は毎月発生してしまう。しかしH¹Oなら、賃料もスペースも最適化することが可能だ。

間仕切り壁が動かせるので、広さの拡張や縮小も自由にできる。家具ありを選べば、家具を選ぶ手間もかからない。最新式のスタイリッシュなオフィスで働くことで、従業員のモチベーション向上も見込めるだろう。

また、受付機能や複合機、シュレッダー、コーヒーサーバー、ウォーターサーバーがあるなど、従業員が仕事に専念できる環境がきめ細やかに整備されている。

敷金や礼金がかからないため、初期コストを抑えてサテライトオフィスの運用を始められることもメリットだ。光熱費や清掃費も月額料金に含まれており、定額経費として管理しやすいことも魅力だろう。

最後に、H¹Oはサービスオフィスの中でも、特にセキュリティに強みを持っていることを指摘しておきたい。最大5段階のセキュリティ構造で、第三者の立ち入りを徹底的に排除している。また、顔認証なのでカードキーの紛失リスクもない。

サテライトオフィスに関心があっても、情報漏えいへの懸念から踏み切れない経営者も多いだろう。今は情報漏えいによって一瞬で赤字に転落してしまう可能性もある時代だ。サテライトオフィスを活用するなら、セキュリティにはこだわるようにしておくべきだろう。

時代の変化に柔軟に対応するために

ここ数年で「働き方改革」の波が一気に押し寄せ、企業や働く人のあり方は変わり始めた。サテライトオフィスの増加など、ゆっくりだが確実に企業も働く人も新時代に備えつつある。

また、新型コロナウイルスの世界的な大流行により、リモートワークが増加したことで、今後さらに「自由な働き方」が増えるだろう。企業として生き残りを図るうえで、以前のやり方に固執することなく、柔軟に変化を受け入れることが大切だ。

サテライトオフィスの開設は、働き方を変える1つの有効な選択肢だ。ニーズの高まりにあわせてサービスオフィスをはじめとした便利なサービスも登場しており、積極的に活用していくようにしたい。