自社株買いと株価

3月に3,600億円の自社株買いを発表トヨタ自動車の株価はその後7.3%上昇し、5月に100億円の実施を発表した機械メーカーのアマダの株価も15.6%急騰した。100億円以上の自社株買いをことし発表した企業の株価は、平均で4.1%上昇。米国でもAppleの株価が過去最高値を更新したときのは、300億ドル以上の巨額を投じた自社株買いなどの成果といわれている。

企業は余剰キャッシュが生まれた時に、設備投資を行ったり、預金するといった選択肢もあるが、自社株買いも企業の重要な財務戦略のひとつだ。また、長期の株価低迷後の企業も投資家を意識し始め、事業で得た利益をきちんと還元していくことが経済再建に必要な循環であるという認識も広がってきている。

ただし、これには異なった意見もある。事業の成長に向けた投資に使われるべき資金が、自社株買いに使用されることに対して否定的に捉える見方である。長期的な成長を図ってこそ、株主にとっての本質的な価値が高まる、と考える人もいる。


自社株買いを発表した主な注目企業

前述の、NTTドコモ、トヨタ自動車、日本電信電話のほかにも、大手有名企業が自社株買いを発表した。取得枠ベースで例を挙げてみよう。

三菱UFJフィナンシャルグループ <8306> 1,000億円、三菱商事 <8058> 600億円、キヤノン <7751> 500億円 、アサヒグループHD <2502> 500億円、ヤマダ電機 <9831> 500億円、三井物産 <8031> 500億円、東京ガス <9531> 400億円、アステラス製薬 <4503> 300億円、HOYA <7741> 300億円、コニカミノルタ <4902> 300億円、オムロン <6645> 150億円など。

また、12月には、塩野義製薬 <4507> が300億円の自社株買いを発表して年初来高値をつけるなどの動きが見られる。12月に入ってから自社株買いを発表した企業は、30社(12月22日時点)。


狙い目は低PBRで自社株買いを行う企業

今年発表された三菱UFJ証券のレポートによれば、「高いリターンを期待できる自社株買い銘柄の条件」として低PBRがあげられている。

PBRは株価純資産倍率と呼ばれ、これが高いほど、企業が保有している資産(株・現金・土地など)を大きく超えて、過大に評価された株価になっているということになる。低PBR銘柄企業だが、キャッシュリッチ企業として知られる菱洋エレクトロ <8068>は、2013年末の自社株買いの発表後、前週の高値から1週間で約10%の上昇となった。今後も低PBR銘柄企業に自社株買いの動きが見られれば注意してみてはいかがだろうか。

(ZUU online)

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