「買う権利に資金流入。先高観が強まる」

経済ニュースで上記のような表現を耳にすることもある。『買う権利』とは何だろうか。そして、『買う権利』が買われることが、どうして『株の先高観』という認識につながるのか。ここでは、買う権利『プット』と売る権利『コール』について説明する。

その前にまず、『権利』の売買というコンセプトの説明から始めよう。株式の購入には、その株式そのものを買うことができるが、それとは別に『買う権利』を購入することもできる。『買う権利』の購入は、あくまで“権利”であって、株式そのものではない。たとえば、株式をリンゴと置き換えて考えてみよう。

リンゴを買う場合、リンゴそのものの購入とリンゴを“買う権利”の購入ができるとする。「今年の冬リンゴが欲しいから、リンゴを買う権利を売ってほしい」と言えば、リンゴを冬に受け取る権利を手に入れることができる。権利を購入した時点ではリンゴは手に入らないが、収穫時期になれば『買う権利』を行使してリンゴが手に入る。これが『権利を買う』ということである。購入時に現物を手に入れることはできないが、時期が来れば、実物を手に入れることができる。


『コール』とは? 株価が上がりそうなときの戦略

『コール』は、『買う権利』のこと。またリンゴを例にとってみよう。リンゴをこの冬1個当たり100円で購入したいと考える場合は、「リンゴ100個を1万円で購入する権利を買います」ということになる。

では、実際に冬になり、リンゴの現物を購入することとの違いは何だろうか? それは値段を決めるタイミングが違うということになる。ここでは、リンゴ1個を100円で購入するとの約束をしたが、実際に冬にはリンゴの価格が高騰し、1個120円に値上がりしていたとする。

すると、1個100円で購入する権利を買っていた場合、100円で購入したリンゴを120円で売ることができるようになる。1万円のリンゴ購入で、1万2,000円のリンゴを手に入れることになる。それを転売すれば、2,000円の利益を得ることができるのだ。逆に、リンゴ価格が1個90円に下落してしまった場合、1個当たり10円の損失となり、全体で1,000円の損失となる。

株式にも同じことが言える。相場が値上がりしそうなときは、株式を買う権利を購入しておくことで、値上がりした株式との価格差で利益を出すことができる。そのため、株式相場が上げ基調である場合、相場に先高観が強い場合には『買う権利』、すなわち『コール』の買いが増えるのだ。