「部下がサボるのでは」という心配は的外れ

リモートワークと言うと、「部下がサボるのではないか」とネガティブな反応をするマネージャーも少なくありません。

確かに、その可能性はゼロとは言えません。しかし、部下がサボるのはリモートワークが原因ではありません。身も蓋もない言い方になりますが、オフィスに出社してもサボっている人はいて、そういう人はリモートワークでもサボるのです。

PCに向かいながらネットサーフィンを頻繁にしていたり、トイレで電子コミックを読んだり、あるいは休憩と称して何度も喫煙室に行ったりと、オフィスでもサボる人はいくらでもいます。

それでも、「部下が何をやっているのか上司に見えないリモートワークのほうがサボり放題ではないか」と思うかもしれませんが、上司の仕事は部下に成果を上げてもらうことであって、サボっているかどうかをチェックするのは本質的ではありません。

そして、部下に成果を上げてもらうことは、リモートワークを導入するかどうかにかかわらず、マネージャーの基本的な仕事です。

部下の仕事の進捗状況を常に把握できる工夫をして、成果を上げてもらうようにサポートすることは、オフィスでの仕事でもリモートワークでも変わりません。

それどころか、部下のモチベーションを高めるという点では、むしろリモートワークのほうが優れていると思います。

子供が熱を出したとか、習い事の送り迎えをするといった、各家庭の事情に柔軟に対応できるからです。ワークライフバランスが整うと、仕事へのモチベーションが上がります。

実際、当社の社員からは「子供との時間が取れる」「子供の学校の行事に参加できる」といった声が多く、それが仕事へのモチベーションにつながっているのを感じています。

世界中の優秀な人材に継続的に働いてもらえる

リモートワークは、業務の効率を上げるということだけでなく、優秀な人材に働いてもらえるという点でも、生産性を向上させます。

まず、採用の可能性が劇的に広がります。

オフィスへの出社を前提にすると、オフィスへ通勤できるエリアに住める人材だけしか採用できませんが、リモートワークなら、日本中、あるいは世界中の人材を採用できます。当社では採用面接もリモートで行なっています。

また、優秀な人材が退社することも防げます。

「夫の転勤が決まったので、家族で引っ越すことになった」「親の介護で地元に戻らないといけない」といった理由で社員が辞めるケースは少なくありませんが、リモートワークなら、そうした事情を抱えても、退社する必要がありません。

倉貫義人(ソニックガーデン代表取締役社長CEO)
(『THE21オンライン』2020年04月10日 公開)

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