(本記事は、水上克朗氏の著書『50代から老後の2000万円を貯める方法』アチーブメント出版の中から一部を抜粋・編集しています)

老後を迎えても、支出は減らない

50代から老後の2000万円を貯める方法
(画像=beeboys/stock.adobe.com)

家計におけるライフイベント上3大資金は、「教育資金」「住宅資金」「老後資金」です。そのうち「老後資金」については、遠い先の話のようで、イメージできないからこそ不安を感じてしまうかもしれません。具体的にいくら必要なのでしょうか?

前頁では家計上の「6つの崖」があることをお伝えしましたが、「支出」も合わせて見ていきましょう。収入と支出の差額が、将来貯めておくべき老後資金の金額になります。

夫婦2人の老後に必要な資金は、最低必要生活費で月22万円、ゆとりある生活をしたければ月36万円(※1)と言われています(図参照)。これは50代の勤労世帯の消費支出に相当します。

老後の収入である、公的年金受給額の月平均は、約20万円(※2)なので、最低限必要な生活費ですら賄えず、月2万円の赤字になってしまいます。

老後は悠々自適、旅行に行ったり、車を買い替えたり、子どもの結婚資金も援助したい……そんなゆとりを持ちたければ、さらに準備すべき老後資金は跳ね上がります。

つまり、「収入は減っても支出は減らない」と考えたほうがよいのです。

いったい、どうやって老後資金を工面すればいいのでしょうか?

40代までは子どもの教育資金や住宅資金を優先するため、老後資金どころではないかもしれません。しかし、6つの崖を下るごとに収入が減っても「トントン暮らし」ができるように、ムダな支出をなくしていくことは欠かせません。時間を味方につけて、早く取り組むほど老後はラクになります。次の項目では、その具体的な方法をご紹介します。

※1 生命保険文化センター「令和元年度生活保障に関する調査」
※2 総務省「家計調査年報(2018年)」(高齢夫婦無職世帯の家計収支)

支出を見直せば10年間で1000万円以上に!

いくら頑張って老後資金を貯めても、支出が膨らんでいる状態では、貯蓄はあっという間に目減りしてしまいます。50歳から老後資金を確実に貯め、老後も長期間にわたって使える状態にするには、ムダな出費を抑えることが欠かせません。

しかし、ひたすら我慢の節約は、ストレスが溜まるわりに長続きせず、効果が上がりづらいものです。趣味費用など、自分にとって大切な支出は守りながら、ムダな支出を抑えるには2つの鉄則があります。

支出を見直す2つの鉄則

①節約効果が高い費目の支出を見直す

次の4つの柱を見直すことで、大幅な支出の削減になります。しかも、一度見直すと節約効果がずっと続くので、ストレスもかかりません。

(1)自動車(節約見直し効果:500~700万円)(br)

(2)保険(節約見直し効果:360~840万円)(br)

(3)固定費(通信)(節約見直し効果:100~200万円)(br)

(4)住宅ローンの借り換え・繰り上げ返済(節約効果:100~400万円)

それぞれのカッコ内の数字は、10年間を想定した際に、おおよそ削減できる支出額です。

じつは、この4つを見直すだけで、1060~2140万円の支出が抑えられるのです。これだけで、老後資金2000万円が半分近く、あるいはほぼ賄える計算です。

②〝一気に〟ではなく〝少しずつ〟見直す

「これはムダ」と思える支出でも、一気にカットするのではなく、時間をかけてダウンサイジングしたほうがよい費目もあります。たとえば、「晩酌代を減らせそうだ」と感じても、翌月から一気に3割減らすのではなく、1年ごとに3%ずつ減らすなど。支出のリバウンドを防ぎ、継続して効果を出すために大切なポイントです。

50代から老後の2000万円を貯める方法
水上克朗
ファイナンシャルプランナー
1957年山梨県生まれ。慶応義塾大学卒業後に大手金融機関で40年間勤務し、14回の部署異動、11回の転勤、11年間の単身赴任、二度の会社合併を経験したが「会社一筋一社の人生」を貫く。56歳のときに執行役員待遇から社外出向となり、収入が激減。同じタイミングで家族の病気が悪化、実家の父親は認知症で2年半の介護状態。母親も老老介護で疲れ果て胃がんで3ヵ月の余命宣告。両親が立て続けに他界し、ダブル相続にも直面した。ファイナンシャルプランナーの知識を活かし、自身のライフプランを見直して老後資金を捻出。専門雑誌のコラムや講演活動で50代から同世代のリタイア世代にエールを送る。CFP(日本FP協会認定)、1級ファイナンシャル・プランニング技能士。

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