※本連載は日本でまだ翻訳されていない海外のビジネス書を紹介しています、書籍タイトルは著者による翻訳です

Leading Without Authority『権限がないリーダーシップ』
キース・フェラッジ著
出版社:Penguin Random House
発売日:2020年6月23日
ジャンル:自己啓発書

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書籍概要

働く場所を選ばないリモートワークが普及していくなかで、企業の複雑な指揮系統や上司の承認が必要な仕組みを変化させるべきなのか。働き方が急速に変化し、意思決定のスピードが求められる昨今では、これまでの働き方では対応できないと本書では指摘されている。

著者であるキース・フェラッジ(Keith Ferrazzi)は本書で「権限を伴わない対等な立場」の採用を推奨している。この新しい制度を導入することで、生産性が向上し、業務に対する責任や達成感が生まれ、組織を高いレベルにステップアップさせられるだろう。

この制度の考え方は至ってシンプルだ。同じ目的に向かって進みながら、自身のことと同じように他者の成長を気にかけるだけでよい。より良い仕事ができるように支援することで、現状よりも深い信頼性を構築できるという。

肩書・役職などの権限を伴わないリーダーシップはこれからの企業で必須の能力になるだろう。正式な権限や直属の部下はもはや必要ない。上司や同僚をチームメイトに変化させて、共に高みを目指すという共通認識を持つことが重要になる。

著者のキース・フェラッジはこれまで10年以上の研究と、30年以上のCEOやシニアリーダーを支援してきた経験がある。この経験に基づいた理論を紹介しており、組織が高いパフォーマンスを発揮し、リーダーシップを再定義するきっかけを与えてくれるはずだ。

本書で紹介されている新しい制度はこれまでの固定概念を覆すものなのかもしれない。しかし、変化が求められる時代で組織をより発展させるためには必要な考え方だろう。

この本をおすすめする読者層

あらゆる業界のビジネスマンにおすすめできる本書。特に企業のトップや社員を管理しなければならない役職の方にはぜひ推奨したい。

著者のキース・フェラッジは本書で紹介されている「権限を伴わないリーダーシップ」の背景にある歴史と、なぜこの考え方を昨今の企業文化に取り入れなければならないかを深く掘り下げて説明している。

さらに、仕事上の人間関係を構築させる方法やフィードバックを行うことについても取り上げられているため、リーダーシップに関するガイダンスを知りたい方や組織をレベルアップさせたい方にもおすすめだ。

本書を読むことで、現在の組織で悩まされている指揮系統や社内制度を解決させてくれるに違いない。また、チームの信頼を得て組織を前進させるためのリーダーシップにおける考え方が大きく変わるだろう。

著者について

キース・フェラッジはカリフォルニア州ロサンゼルスに拠点を置くコンサルティング会社「フェラッジ・グリーンライト」の創設者兼CEOである。著書である『Never Eat Alone(一生モノの人脈力)』がベストセラーに。世界経済フォーラムより「未来のグローバルリーダー」に選出、クレインズ・ビジネスでは「40 Under 40」に選ばれるなど、コンサルティング業界で活躍している人物だ。