「非接触」ニーズも後押し

ドローン
(画像=PIXTA)

ドローン(小型無人飛行機)の産業利用が一段と進みそうだ。プラントでの点検作業の効率化へ向け、政府が規制緩和に乗り出すほか、将来的にはコロナ・ショックを通じて高まった「非接触」のニーズがさまざまなシーンでの実用化を前倒しする可能性がある。改めて関連銘柄に注目したい。

経済産業省ではドローンの飛行レベルを4段階に分け、現在はレベル3の「無人地帯での目視外飛行」までが解禁されている。「無人地帯」に該当する山や河川、森林といった非人口密集地域で、補助者を伴わない目視外飛行が可能。橋りょうなど社会インフラの点検などに導入されつつある。

定期的に人の目で直接確認している電力・ガスプラントの設備点検についても、同省はドローンで代替できる新たな制度づくりを進めていく。高い位置や危険な場所をチェックするために必要な大掛かりな作業を省略できれば、コスト負担の軽減につながる。

一方、政府はレベル4で定める「有人地帯での目視外飛行」の実現を目指し、機体認証や操縦ライセンスといった制度の設計を視野に入れる。来年1月に始まる通常国会で航空法改正案を提出する見通し。2022年の運用開始を目指している。

レベル4に入ると、現在は規制されている市街地でのドローンの活用が本格化する。宅配便や警備をはじめ多くの分野で導入が想定され、国内市場は大きく膨らむことになる。既に活用されている農薬散布や測量などと合わせ、その規模は数千億円に伸長するとみられている。

新型コロナをめぐっては、海外で医療物資の輸送にドローンが使われた。また、米国では昨年、運輸大手のUPSがFAA(米連邦航空局)から民間企業としては初めてドローン配送事業の認可を受けるなど、一足早く新時代の幕開けを迎えている。ドローンは人との接触を減らし、感染症リスクを下げる効果も期待されるため、日本でも早期普及を求める声が高まっている。

関連銘柄の最有力格がドローン専業の自律制御システム研究所(=ACSL、6232・M)。独自の技術によるインフラや物流向けのソリューションの構築と機体販売を主力とし、前3月期(非連結)は通期の営業黒字化を達成した。売上高は前々期比58%増の12.8億円と高成長が続き、規制緩和とともに商機はいっそう拡大する公算だ。

前期には従来機と比べて価格を低く抑えた標準機を投入した。また、国産品質のセキュリティー対応にも注力してきたことから、中国製ドローンからの需要のシフトの波をとらえることが期待される。株価は5月の直近高値から比較的大幅な調整を挟み、仕切り直しの準備が整った。

ドローンへのAI(人工知能)搭載をめぐってはモルフォ(3653・M)が浮上する。画像認識ソフトを手掛け、ドローン向けに展開。AIによる人影検出や欠陥個所の検出といった実用に欠かせない機能をサポートする。

穴株は技術商社の理経(8226・(2))。同社はドローンを使った防災救助システムのほか、ドローンが悪用された場合にその飛翔音を検知するセキュリティー製品でも知られる。そして、かつては夏場に急騰することが多かった銘柄特性も見逃せない。

このほか関連銘柄としてオプティム(3694)、川田テクノロジーズ(=川田TECH、3443)、菊池製作所(3444・JQ)、丸山製作所(6316)、日本ユニシス(8056)、セコム(9735)などもマークしたい。(7月1日株式新聞掲載記事)

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