通勤の変化契機に、電車賃値上げも

自転車時代
(画像=PIXTA)

企業のオフィス離れとともに、通勤の形も大きく変わる。富士通(6702)はテレワークを基本とした勤務体系に移行するとともに、通勤定期代の支給を廃止する方針を示した。近隣のサテライトオフィスなどに通う際には、近場への移動に便利な自転車を利用する機会が増えそうだ。関連銘柄をマークしたい。

富士通は国内グループ約8万人の従業員にテレワークを促し、定期代の代わりに月5000円の在宅勤務の環境整備費用を支給する。また、小規模のサテライトオフィスや仕事場を共有するシェアオフィスを活用する。GMOインターネット(9449)もテレワークを基本とするほか、米国ではツイッター<TWTR>社が希望者に対して永続的に在宅勤務を認めた。

都心への長距離通勤の弊害はこれまでも指摘されてきたが、新型コロナウイルスの感染拡大をきっかけに一気に見直しが進みそうだ。さらに、JR東日本(9020)は混雑する時間帯の運賃値上げを検討しており、実行されれば一段と「脱通勤」の流れが加速しそうだ。

自宅の近所での足となり、交通費の節約にも役立つのが自転車だ。新型コロナに絡んでは、3密対策としても需要が高まる。また、通勤定期代の廃止によって、休日の移動距離が狭まることで、近隣の商圏の活用頻度がより高まる可能性もある。

自転車量販店のあさひ(3333)は、直近6月の既存店売上高が前年同月比40.5%増と大幅に拡大した。4、5月に店舗営業が制限された反動もあるが、増収要因の一部はテレワークをはじめとする働き方の変化だ。

シナネンホールディングス(8132)は、LPG(液化石油ガス)販売のほか自転車小売も展開する。また、シェアサイクル事業も手掛け、首都圏を中心に大手コンビニエンスストアや地方自治体と連携。3月末時点で1200個所のシェアサイクルステーションと6000台超の自転車を運営している。

政府は「新しい生活様式」への対応の一環として、自転車通勤を促進する方針を示していることからも、シェアサイクルの潜在力は大きい。株価は5月の年初来高値2990円をピークに一服感があるものの、6、7月の安値をボトムに再浮上をうかがう。信用売り残が多く、需給的な妙味も見逃せない。

このほか、食品スーパーのOlympicグループ(8289)が自転車販売の子会社を擁する。動力を使わずに自力でペダル走行をアシストするシステム「フリーパワー」も話題を集めている。自転車部品世界最大手のシマノ(7309)や、専門通販サイトのエイチーム(3662)、ダイヤ通商(7462・JQ)、セキチュー(9976・JQ)などもマークしたい。

一方、自転車の利用増とともに駐輪場の確保が急務になる。技研製作所(6289)の機械式駐輪場「エコサイクル」は、地下空間に1基当たり200台以上の自転車を収容できる。手狭な駅前などでの展開が進みそうだ。同社は杭(くい)打ち技術「インプラント工法」で知られ、大きなテーマとなっている水害対策の関連銘柄としても有力視されている。

また、自転車利用の活発化は盗難やトラブルの増加と直結する。これ絡んでは、駆け付けサービスや、自転車保険を手掛けるジャパンベストレスキューシステム(=JBR、2453)も穴株として押さえておきたい。(7月9日株式新聞掲載記事)

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