クロネコヤマトでお馴染みのヤマトホールディングス(以下、ヤマトHD) <9064> の株価が上昇トレンドを鮮明にしている。ヤマトHDの株価は3月17日の安値1289円から7月8日の高値2783円まで4カ月ほどで2.2倍となった。時価総額で1兆円を超える企業が短期間でここまで上昇するのは非常に珍しいことだ。

背景には新型コロナ禍で宅急便の取扱急増が指摘されており、株式市場では好決算への期待が高まっているようだ。後段で詳述する通り、ヤマトHDは宅配便業界の草分け的存在であり、個人向けのロジスティックスのインフラをゼロから築いてきた歴史がある。そのヤマトHDはさらにデジタル化を推進し「運送」から「運創」へのイノベーションを起こそうとしている。

今回はヤマトHDの最新動向を見てみよう。

新型コロナ禍で「宅急便需要」が急増

ヤマトホールディングス,株価
(画像=つむぎ / pixta, ZUU online)

ヤマトHDといえば、国内の宅配便トップシェアのヤマト運輸を傘下にもつヤマトグループの持株会社である。ちなみに「宅急便」という言葉はクロネコヤマトの商標名であり、正式名称は「宅配便」である。

ヤマトHDは宅配便業界の草分け的存在であり、1976年には小口宅配の「宅急便」、1988年には冷凍・冷蔵便の「クール宅急便」など物流にイノベーションを起こしてきた。個人のロジスティックスのインフラをゼロから築き、我々の生活を豊かにしてきた企業と言っても差し支えないだろう。ちなみに、国土交通省の調べによると2019年度の宅配便業界のシェアはヤマトHDの「宅急便」が42%、佐川急便グループの純粋持株会社のSGホールディングス <9143> の「飛脚宅配便」が29%、日本郵政 <6178> の「ゆうパック」が22%、その他7%となっている。

ヤマトHDの株価が動意付いたのは、5月11日に同社が発表した「4月の小口貨物取扱実績」だった。それによると、宅急便(宅急便、宅急便コンパクト、ネコポスの合計)は前年同月比13.2%増の1億5599万個で、3月の3.9%増から急増した。さらに6月4日発表の「5月分」は同19.5%増の1億6498万個、7月6日発表の「6月分」も18.7%増の1億7022万個と高水準で推移している。2020年3月期(通期)は0.2%減であり、今年の春先から明らかにトレンドが変化している。

背景には新型コロナ禍の「巣ごもり生活」で通販等の需要拡大が指摘される。ただ、緊急事態宣言の解除後も需要は落ちていないことから、宅配便業界は「Withコロナ時代」の新たな成長フェーズを迎えた可能性がある。

「Withコロナ時代」の新たな成長フェーズへ?