読者のみなさんは「健康寿命」をご存知でしょうか? 定年後の不安といえばまず「お金」を思い浮かべる人も多いことと思いますが、同時に「健康」に対する不安を抱いている人も少なくありません。実際、私のFP事務所では大きく分けて「お金」「健康」「生きがい」についての相談が多く寄せられており、個人的にこれらは「定年後の3大不安」と考えています。
健康寿命とは「健康状態に問題なく日常生活を送れる期間」のことを言います。生命保険文化センターの調べによると、2016年時点の日本人の健康寿命の平均は男性が約72歳、女性は約75歳です。一方、厚生労働省によると日本人の平均寿命は男性81歳、女性87歳となっています。
平均寿命と健康寿命の「差」は男性で9年、女性は12年にまで拡大しています。医学の進歩により平均寿命は年々延びているのですが、健康寿命が追いついていないのが実情です。たとえば、厚生労働省は認知症について2025年には5人に1人(700万人)の時代になると予測しています。認知症に限らず、たとえ長生きできたとしても9〜12年も身体の自由がきかない状態で生活するというのは大変です。
人生100年時代とも呼ばれる昨今ですが、長生きによって「不自由な生活」も長期化するリスクを内包しているのです。
75歳以上の平均入院日数は約44日
高齢になると健康状態に何らかの問題が出るのは仕方がないことです。不健康になると「お金」もかかります。
ちなみに、厚生労働省の『平成29年 患者調査の概況』によると全年齢の平均入院日数は29.3日です。一方で、65歳以上は37.6日、75歳以上は43.6日と年齢を重ねるごとに伸びる傾向にあります。