(本記事は、小島 拓氏の著書『融資地獄「かぼちゃの馬車事件」に学ぶ 不動産投資』幻冬舎の中から一部を抜粋・編集しています)
ヤバすぎる「サブリース契約」に依存
「かぼちゃの馬車事件」ではサブリース賃料が減額され、結果的に支払われなくなる事態となったため大きく騒がれることになったのですが、もしもサブリース契約がそのまま存続しても、サラリーマン大家にとって不利益になる可能性があります。
なぜかといえば、そもそもサブリース契約自体が「オーナーにとって不利なもの」だからです。
サブリース賃料は空室時でも家賃を保証するという性質から、相場家賃の80%ほどに設定されるケースが多いものです。これが、新築物件で相場並みや相場以上(「かぼちゃの馬車」は数万円上乗せされているケースもありました)であれば、それは新築アパートの建築費用にその分のコストが含まれていると考えられます。
さらにいえば、表面上「30年一括借り上げ」とうたっていても、契約書を読むと「2年毎に家賃の見直し」といったサブリース会社側に有利な文言が入っていることがほとんどです。誰もが名前を知っているような某大手アパートメーカーでは、家賃を下げる交渉に対してノルマがあるといいます。3000円減額、5000円減額を達成すると、その営業マンの成績になるのです。これでは、最初に設定されたサブリース賃料はまやかし以外の何物でもありません。
こうした減額交渉に対してオーナーが反発すれば、「それでは契約を解除しましょう」と言われるのがオチなのです。自身で物件を管理運営する能力があればいいですが、そうでなければ、家賃を下げなくては埋まらない空室だらけの物件が戻ってくることになります。
そもそもオーナーは不利な立場です。というのも、借地借家法によりオーナーからサブリース契約を解除することは難しいのですが、サブリース会社から契約を解除することは比較的たやすいのです。
一方、サブリース契約は、原則として大家側からは中途解約ができません。契約満了時であっても大家側からの解約は難しいといわれています。なぜなら、大家からするとサブリース会社は入居者(賃借人)ということになり、賃借人から契約更新を希望されたら、それを拒絶することはほぼ不可能だからです。
そのため、売却の際に自由度が制限されることがあります。これはオーナーにとっては大きなデメリットです。「こんなにオーナーに不利な内容でいいの?」と思われるかもしれませんが、それがヤバいサブリース契約の真実です。