2兆ドルの政策発表
米民主党の大統領候補のバイデン前副大統領が、現職のトランプ大統領の支持率低迷を背景に株式市場でも存在感を強めている。トランプ政権が離脱した温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」への復帰を目指すバイデン氏。14日には環境分野に2兆ドル(約214兆円)を投じる政策を発表した。注目のテーマと関連銘柄を探った。
「バイデン政権」が誕生した場合、トランプ大統領が進めた石油や石炭などの化石燃料産業を振興するエネルギー政策の大転換が予想される。米民主党は2035年に発電における温室効果ガスの排出量をゼロにする目標を掲げ、太陽光や風力、水素、次世代原子力の活用を加速する構えだ。
本命と目されるのがソーラーパネルの製造装置を手掛けるエヌ・ピー・シー(6255・M)。同社は米国のパネルメーカーと関係が深く、足元でも主力顧客の生産能力拡大に伴う装置ニーズを取り込んでいる。13日に発表した今7月期第3四半期累計の連結営業利益は前年同期比25%増の3.7億円。「(民主党が政権を奪取すれば)追い風が一段と強まる」(エヌピーシーのIR担当者)。
風力発電では三菱重工業(7011)、次世代原子力では日立製作所(6501)といった重厚長大メーカーにも商機が広がる。水素関連は米国でも水素ステーションを運営する岩谷産業(8088)をマークしたい。
バイデン前副大統領は、ガソリン車からEV(電気自動車)への切り替えを進める考え。また、現在主流のリチウムイオン電池から、エネルギー効率に優れる次世代の全固体電池へのシフトも予想される。
全固体電池は安全性も高く、日本ではトヨタ自動車(7203)が開発を急いでいる。一方、米国の固体電池ベンチャーのソリッドパワーに出資しているのが三桜工業(6584)だ。
ソリッドパワーは量産化技術にたけ、自動車向けの早期実用化に向けて米フォード・モーター<F>や独BMWと提携している。三桜工は自動車用チューブの大手だが、電池の研究にも積極的で、ソリッドパワーには18年に出資している。
このほか、トヨタと電池分野で協業するパナソニック(6752)や、ジーエス・ユアサ コーポレーション(=GSユアサ、6674)、オハラ(5218)なども浮上する。
世界的な問題となっている海洋プラスチックごみ(廃プラ)対策も、民主党政権下ではよりスムーズに進みそうだ。
米国は1人当たりのプラスチック容器の使用量が最も多く、廃プラの輸出量も世界一だ。リサイクルの動きも進んではいるものの、他国と比べて遅れている。ただ、大統領の交代で状況が大きく変わる可能性がある。
代替素材として注目されるのが植物由来の生分解性プラスチックなどだ。この分野は欧州が先行しているが、米国市場が本格的に転換すればパラダイムシフトが起こり得る。日本企業の活躍余地もあり、米国でも製品の採用が進んでいるクラレ(3405)を筆頭に、海中で分解するプラスチック素材のカネカ(4118)などが脚光を浴びそうだ。(7月16日株式新聞掲載記事)
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