災害復旧工事など建設関連が、一部地域で景況感を牽引
~ コロナ禍でも全国130圏域でみると、景況感にDIで30近くの格差 ~
はじめに
国内景気の実態把握を目的として、2002年5月から調査を開始したTDB景気動向調査。現在、日本全体、全国10地域、47都道府県に関して景気DIなどの指標を公表している。さらに今回、企業が実感する地域の景況感により近づけるため、地域の経済的なつながりや交通網などを考慮し全国47都道府県を130の圏域に分割して、圏域別景気DIを算出した。
本稿では、全国130圏域の景気DIについてTDB景気動向調査2020年6月調査をもとに結果をとりまとめた。
■なお、130圏域は、各種圏域に関する資料を参考に帝国データバンクにて加工・設定。地図データは、国土地理院発行の数値地図(国土基本情報)とESRIジャパンの全国市区町村界データを使用し加工した
■調査期間は2020年6月17日~30日、調査対象は全国2万3,681社で、有効回答企業数は1万1,275社(回答率47.6%)
調査結果
1 2020年6月の景気DIを圏域別にみると、前月から130圏域のうち95圏域で改善となった。圏域別の順位は、高知県南国市などの「高知東部」が42.3でトップ。以下、北海道北見市などの「オホーツク」(39.1)、鹿児島県鹿屋市などの「大隈・奄美・熊毛」(38.3)、福島県いわき市などの「浜通り」(37.7)、千葉県木更津市などの「千葉南部」(37.5)が続いた
2 特に、高知県南国市などの「高知東部」(42.3)や福島県いわき市などの「浜通り」(37.7)などでは、厳しいながらも災害復旧工事をはじめとする公共事業の発注がでており、建設業界を筆頭に景況感に改善がみられる
3 また、130圏域のうち2圏域で10ポイント以上の改善がみられた。三重県伊勢市などの「三重南部」は、飲食料品小売業が改善し、前月比13.3ポイント増の27.4となった。群馬県沼田市などの「吾妻・利根沼田」は、建設や卸売業界が牽引し、同10.2ポイント増の33.3となった
4 他方、唯一『東海』では、全ての圏域で30を下回っている。特に、愛知県豊田市などの「西三河」(22.9)や静岡県浜松市の「静岡西部」(22.8)では製造業界を中心に低水準が続いている