様々な増毛・育毛商品やヘアーインプラントなどが脱毛症対策として市場に出回っているが、「期待したほどの効果を得られなかった」「高額で手が出せない」という声も少なくない。

しかし近年におけるバイオテック(BioTech)の目覚ましい進化により、将来的に低コストでより効果的なバイオ育毛(Bio Hair Growth)が実現する可能性が浮上している。

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(画像=dani3315/PIXTA/ZUU online)

加齢だけが原因ではない!若年層の1~2割が脱毛症

人間の髪の毛は毎日平均50~150本抜け、成長期・退行期・休止期・新生期というプロセスを経て、新たな毛と入れ替わる。この周期をヘアサイクル(毛周期)といい、健康な髪を維持する上で欠かせない自然な生理現象だ。

しかしヘアサイクルが乱れ、抜け毛の量に新たに生えてくる毛の量が追い付かなくなった時、脱毛症に悩まされることになる。 様々な研究結果から、男性の85%は遅かれ早かれ脱毛症を経験することが明らかになっており、そのうち95%が遺伝子に起因するものだ。遺伝性脱毛症は正確には脱毛が原因ではなく、正常な髪が細い髪に置き換わることによって生じる。

女性型脱毛症は女性ホルモンの減少に伴い、頭頂部を中心として毛の数が減るケースが多いが、中には男性のように前頭部の後退や全体的な薄毛を経験するケースも見られる。

近年は加齢だけではなく、不規則な生活スタイルやストレスなど様々な要因により、若年性脱毛症も増えている。東和製薬のデータによると、日本人の男性型脱毛症(AGA)は、20代で約10%、30代で約20%、40代で約30%、50代で約40%と、若年層でも10人に1~2人の割合で発症している。

期待の育毛成分・治療法

スウェーデンの発毛および糖尿病対策の研究開発組織フォリカム (Follicum)のジャン・アレンフォールCEOいわく、世界中に脱毛症に悩む人々が存在するにもかかわらず、現時点で主流となっている成分は2つしかない。日本でも発毛剤として商品化されている「ミノキシジル」と、脱毛を抑えてヘアサイクルを正常化させる「フィナステリド」だ。

しかし近年は以下の例のように、自己細胞療法など新たな切り口から、脱毛症に取り組む研究・開発が活発化している。

●特許登録済み 髪の成長を促すペプチド「FOL-005」

現在注目されている新しい育毛成分の一つとして、フォリカムが開発した、ヒトタンパク質オステオポンチン(OPN)をベースとする「FOL-005」がある。オステオポンチンは人体内の多数の組織に存在するたんぱく質の一つで、本来、さい帯血(へその緒や胎盤の中に含まれている血液)や乳児の血漿(血液に含まれる液体成分の一つ)に高濃度に含まれている。