「この投信や株はまだ持っていても大丈夫でしょうか?」再びそんな質問が多く寄せられるようになってきた。最近、「新型コロナウイルスのパンデミック第2波が始まった」というような報道が増えたせいか、或いは、米中関係の緊張も影響しているのかも知れない。確かに3月下旬の世界的な株価急落時には、皆さん肝を相当冷やされたであろうから、折角ここまで戻してきたところで、再び悪材料となりそうな話を並べ立てられれば、誰でも不安になって当然だ。誰にとっても初めての経験なのだから。

だが投資で冷静さを欠いたら、決して良い結果は得られない。この機会に、出来るだけ自分自身で冷静さをコントロールし、(自分自身で)ある程度のことが「判断」出来るようになるコツをお伝えしたい。

ワイドショーに惑わされないために必要なこと

投資,初心者
(画像=makaron / pixta, ZUU online)

筆者が運営するWebサイト「ファンドガレージ」では、投資家が冷静さを保つ一助とすべく、「今日のパンデミックはどうなっているか?」を自分自身で確認して貰えるようにしている。ジョンズ・ホプキンズ大学のデータと東京都が発表するデータを使って、国別に前日比の増減や、今現在PCR検査の結果が陽性反応となっていて、何らかの医療的な対応が必要な人(「ACTIVEな感染者」と呼んでいる)がどの程度いるのか、或いは亡くなった人がどの程度増えているのかなどを表にし、日々更新している。勿論、筆者の集計時のコメントも加えているが、大切なのは「数値は嘘をつかない」ということだ。

感情的に危機感を煽るだけのメディア(主としてワイドショー)に惑わされないようにするには、まずは「正確に数値を把握する」ことが大切だ。企業業績を分析する時も同様だが、数値は嘘をつかないし、その連続する傾向値を把握すると、時にトレンドなども見えてくる。その為に新規感染者数、死亡者数、回復者数の推移を8つの項目で分類し直して纏めている。これには2つの意味があり、狭義には「新型コロナウイルス感染者累計(全世界の感染者数が間も無く2000万人を超えます!など)で大騒ぎしても何の役にも立たない」ことを知って貰う為、広義には「数値は嘘をつかず、それを継続的にフォローすることで、いろんなトレンドなど見えてくる」という運用者の地道な調査分析の仕方を知って貰いたい為だ。

作業は皆さんの通勤時間に合わせて毎日更新しているので極めて朝早くに行っている。ただやっていること自体は相当にアナログで地道な作業だ。実はマーケット・データの収集も同じように本来は地道な作業で、その結果として高い投資収益を得ることが出来る。今回これを始めたのも、自分で決めた数種類のマーケット指標をずっと昔から記録をつけているからで、同じ効用を得られるだろうと考えた。結果は期待通りだった。

リズム、波長、傾向…人間の脳はとてもよく出来ている

ここで是非お伝えしたいことは、人間の脳というのとてもよく出来ていて、継続してただExcelに数値を打ち込んでいるだけでも、自然とそれぞれのリズムとか、波長とか、傾向といったものを取り込むように出来ているということ。データを一括してどこかからダウンロードしてきて、Pythonなどの言語で組んだプログラムで演算させれば、何かそれらしい結果を得られるのかも知れない。クラスター分析とかをしても良いかも知れない。でも、人間の脳はただ同じことを繰り返しているだけでも不思議と自然に「変な数値」や「エラー」、或いは何らかの傾向値など出てくると、何となく判るようになっているようだ。これこそ筆者の経験から得た実感である。いつから始めても構わない話なので、ご興味があれば是非ともお試しあれ。

筆者は今回の作業を2月下旬から開始しているので、Excelに溜まったデータはそれなりの量になりつつあるが、自分の脳も相当にディープラーニングを積み重ねたようだ。そのお陰で非常に冷静にパンデミックの動向を捉えることが出来ている。その感覚からすれば、実はパンデミックそのものよりも、人々のヒステリー症状の方が怖いだろうと思っている。そして、残念ながらこのCOVID-19と人類の戦いは長くなると思われる。