テレワークの重要性が叫ばれる昨今では、会議の場を会議室からオンラインに移す企業が増えている。ただし、いきなり環境を変えると混乱を招くので、導入の前には正しい知識を身につけておきたい。そこで今回は、オンラインミーティングの基礎知識をまとめた。

オンラインミーティングに必要な機器・準備とは?

オンラインミーティング
(画像=Rido/stock.adobe.com)

まずは基礎知識として、オンラインミーティングに必要な機器・準備を整理しておきたい。使用する環境やツールによって多少異なるが、オンラインミーティングでは基本的に以下の機器が必要になる。

オンラインミーティングに必要な機器概要
・パソコン(スマートフォン)CPUなどのスペックが低いパソコンでは、フリーズなどのトラブルが発生する場合も。特に大人数が参加するミーティングでは、「第7世代Core i7」を搭載しているなど、ハイスペックな機器を用意しておきたい。
・ウェブカメラ自分の顔を映すための機器。機種によって画素数などが異なり、モデルによってはマイクが内蔵されている。
・マイク自分の声を相手に届けるための機器。音質へのこだわりがある場合には、ハイスペックなマイクを用意しておく必要がある。
・スピーカー相手の声を聞くための機器。イヤホンやヘッドセットでも代用可能。

また、オンラインミーティングでは「ネット環境」が必要になる点も、忘れてはいけないポイントだ。ネット環境が不安定であると、映像や音声が途切れるなどの弊害が生じるので、ある程度はインターネットの速度にもこだわる必要がある。

ここまで紹介した機器とネット環境を用意すれば、基本的にはどのような場所でもオンラインミーティングには参加できるが、快適性を追求するのであれば各機器のスペックにもこだわっておきたい。

Web会議ツールの上手な選び方とは?

オンラインミーティングを行うための「Web会議ツール」には、さまざまなタイプが存在している。ツールごとに仕様は大きく異なるので、快適なミーティング環境を整えたいのであれば、ツール選びのポイントを押さえておくことが重要だ。

そこで以下では、ツール選びで特に意識しておきたい3つのポイントをまとめた。

1.参加可能人数

オンラインミーティングに参加できる人数は、使用するツールによって大きく変わってくる。なかには、5人未満しか参加できないツールも存在しているため、特に大人数でミーティングをしたい企業は「参加可能人数」に目を向けることが必要だ。

また、同じWeb会議ツールであっても、プランによって参加可能人数が変わるケースもあるので、無料プラン・有料プランの差はしっかりと確認しておこう。

2.導入のしやすさ

「導入のしやすさ」は、意外と見落としがちなポイント。たとえば、利用前に会員登録が求められたり、データ容量の多いアプリを落とす必要があったりするツールは、どうしても導入のハードルが上がってしまう。

特にパソコンやネットに慣れていない従業員が多いと、導入だけで大きな手間が生じる恐れがあるので、できれば簡単に導入できるWeb会議ツールを選ぶことが望ましい。

3.セキュリティ性の高さ

オンラインミーティングで重要事項を話し合う場合には、「セキュリティ面」も強く意識しなければならない。第三者が不正にアクセスをすると、社内の重要な情報が漏えいする恐れがあるので、各ツールのセキュリティ体制はしっかりと意識しておきたいポイントだ。

たとえば、アクセス制限やデータ暗号化などの機能が備わっているWeb会議ツールは、セキュリティ性が比較的高いと言える。

おすすめのWeb会議ツールは?ジャンル別に便利なツールを紹介!

Web会議ツールの選び方を理解したら、いよいよ実際のツールを見ていこう。便利なツールはミーティングをする状況によって異なるので、以下ではジャンル別におすすめのツールを紹介していく。

1.無料で使えるおすすめのWeb会議ツール

利用するWeb会議ツールを選ぶうえで、「コスト面」を気にする経営者は多いことだろう。機能性を考えるのであれば、もちろん有料のツールを選ぶことが望ましいが、無料のツールの中にも便利なWeb会議ツールは数多く存在している。

その中でも、以下では特に知名度が高いものをまとめた。

ツール名主な特徴公式サイト
Google Meet・Googleのアカウントがあれば、誰でも会議を開催できる
・Googleカレンダーとの連携機能がある
・ネットワーク速度に応じて、設定が自動調整される
https://meet.google.com/
Skype・Web会議システムとして、圧倒的な知名度を誇る
・もともとIDを持っていれば、抵抗感なく使用できる
・固定電話への通話も可能(※通話料は発生)
https://www.skype.com/ja/
Meet Now・Skypeが提供した新機能
・アプリやアカウントの作成が不要
・直観的に操作しやすい機能性
https://www.skype.com/ja/free-conference-call/
BizMee・全機能を無料で使用可能
・議題を共有できるホワイトボード機能を実装
・インストールや会員登録が不要
https://bizmee.net/

上記のほかにも、現在では数多くの無料ツールが登場しているため、しっかりと情報収集をすれば目的に適した無料ツールを見つけられるはずだ。

2.大人数でのミーティングに便利なWeb会議ツール

以下のようなWeb会議ツールを使用すれば、参加人数が10人を超えるようなミーティングにも対応できる。また、参加可能人数が多いWeb会議ツールは、セミナーや研修に利用できる点も大きなメリットだ。

ツール名主な特徴公式サイト
Zoom・無料版でも最大100人まで同時通信できる
・動画や音声の保存が可能
・参加者をグループにわけられる
https://zoom.us/jp-jp/meetings.html
LiveOn・有料ではあるものの、最大150拠点まで接続可能
・最大で300分までの録画と録音ができる
・高音質、高画質にもこだわっている
https://www.liveon.ne.jp/
SOBA meeting・人数制限が設けられていない
・音声のテキスト化機能が備わっている
・ほかにも、資料や議題を共有できる機能を実装
https://meeting.soba-project.com/
Cisco Webex・規模に応じたプランが用意されている
・月額1,490円のプランでは、50人まで接続可能
・ファイル転送やアンケートなど、機能が豊富
https://www.webex.com/ja/index.html

大人数でオンラインミーティングをする場合には、参加可能人数のほかに「接続の安定性」も意識しておきたい。たとえば、上限人数まで接続すると、画質や音質が著しく下がるツールも存在するため、各ツールの安定性は事前にしっかりと調べておこう。

3.セキュリティ対策が万全なWeb会議ツール

オンラインミーティングで重要な議題を話し合うのであれば、セキュリティ対策が万全なツールを選ぶ必要がある。安心できるミーティング環境を整えたい企業は、以下のようにセキュリティが強固なツールを選ぶようにしよう。

ツール名主な特徴公式サイト
Lite FreshVoice・会議参加者の位置情報がわかる
・ハッキングの危険性がない
・アクセス制限をかけることも可能
https://admin.lfv.jp/trial/?url=eyJ0eXAiOiJKV1QiLCJhbGciOiJub25lIn0.eyJpZCI6NzEsImNyZWF0ZWRfYXQiOiIwNjI3NTkifQ.ant
Calling・通信が暗号化される
・入室時にパスワードを設定できる
・顧客接点を1箇所にまとめて管理できる
https://www.calling.fun/
meetingplaza・AESによって通信が暗号化される
・IPアドレスで参加者の制限をかけられる
・会議室にアクセスすると自動的にインストールされる
https://www.meetingplaza.com/
Connect live・すべての通信にHTTPSを採用
・SSL/TLSプロトコルにより、暗号化される
・さまざまなブラウザに対応している
https://comm.rakuten.co.jp/houjin/connectlive/

セキュリティ面を重視するのであれば、無料ツールではなく有料ツールから検討したい。多少のコストはかかるものの、有料ツールは全体的にセキュリティ性が高いため、どのような環境下でも安心して利用できる。

オンラインミーティングを円滑に進める3つのポイント

会議室でのミーティングとオンラインミーティングでは、会議の環境が大きく異なる。議題が同じであっても、オンライン環境では雰囲気や話の流れが変わってくるため、実際の会議と同じ感覚で進めるべきではない。

オンラインミーティングを導入する企業は、以下でまとめた「円滑に進めるためのポイント」をしっかりと押さえておこう。

1.議題や時間を明確にしておく

オンラインミーティングは対面での会議に比べると、内容が間延びしやすい傾向にある。適度な緊張感を保ちつつ、かつスムーズに会議を進めるには、「議題」と「時間」の2点を明確にしておくことが必要だ。

議題については、事前にミーティングの目的とゴールを設定しておきたい。その目的とゴールを共有しておけば、参加者全員が進捗を強く意識することになるので、スムーズに会議を進めやすくなるだろう。

また、ミーティングの時間に関しては、「30分」を目安に考えておくと良い。少し短いと感じるかもしれないが、上記のように議題を明確にしておけば、この時間内に終わらせることはそれほど難しくはない。

2.最少人数での実施を心がける

オンラインミーティングでは参加者が増えすぎると、どうしても会議が間延びしてしまう。また、サーバーやパソコンに負荷がかかることにより、快適な通信環境が失われやすい点も、大人数でミーティングを行うデメリットだ。

そのため、オンライン環境でミーティングを行う際には「最少人数」での開催を意識したい。事前に設定した議題を見返しながら、その内容に合わせて参加人物を選定しよう。

3.開始時に雑談を取り入れる

オンラインミーティングは対面での会議に比べると、五感で得られる情報量が少ない。たとえば、オンライン環境では相手の表情や身振りがわかりにくいので、場合によっては円滑なコミュニケーションが難しくなってしまうのだ。

この点を補うために、オンラインミーティングの最初には数分間の「雑談」を挟むようにしたい。議題と関係がない雑談であっても、参加者同士で軽いコミュニケーションを図れば、それぞれの参加者が打ち解けることでその後の進行がスムーズになる。

オンラインミーティングには意外なリスクが?ビジネス利用の注意点

自宅にいながら会議に参加できるオンラインミーティングは、現代ならではの非常に便利なコミュニケーション手段だ。しかし、オンラインミーティングにはいくつかリスクが潜んでおり、この点を軽視すると快適な会議環境を作り出すことが難しくなる。

最も気を付けておきたいポイントは、音声トラブルをはじめとした通信トラブルだ。音声が途切れたり聞こえづらかったりすると、会議の進行は大幅に遅れてしまう。ネット環境を見直すことも重要だが、通信環境は使用ツールによっても多少変わってくるため、トラブル発生時に代わりに使用するツールも事前に考えておきたい。

また、相手の表情や雰囲気を読み取りにくい影響で、臨場感や緊張感を維持しにくくなる点も軽視できないポイント。前述で紹介した議題・時間の明確化だけではなく、Web会議ツールの活用方法や心構えを事前に共有するなど、参加者の意識づけも忘れないようにしよう。

まずは目的に合わせたWeb会議ツール選びを

オンラインミーティングを円滑に進めるには、まずは目的にぴったりなWeb会議ツールを選ぶことが重要になる。議題や参加人数、進行方法など、会議の状況に合わせたツール選びができないと、快適な環境を作り出すことは難しい。

また、本記事で紹介した円滑に進める3つのポイントや注意点についても、強く意識しておくことが必要だ。オンラインミーティングの効率は、これらの点を押さえているかどうかで大きく変わってくるので、開催前に本記事の内容をもう一度チェックしておこう。(提供:THE OWNER

文・片山雄平(フリーライター・株式会社YOSCA編集者)